なぜ、ハノンを弾くのか?2018/07/18

『全訳ハノンピアノ教本』
今日は改めてこの教則本について
書いてみようと思います。
あ、ちなみにこの楽譜、
「ハノン、ハノン」と皆に言われ有名ですが、
「ハノン(=アノン)」は人の名前。
ハノン先生が書いた教則本なんです。

当教室でレッスンを開始する際、
大抵の場合は「取り組む曲」にプラスして
ハノンを使うこと(ハノンを弾くこと)を
オススメしているので、
現在通われている殆どの生徒さんが
レッスンの最初にハノンを弾いています。
(時間にすると5分くらいかな?)

ハノンを練習に取り入れる理由をはじめ、
得られる効果や進め方などは、
当教室でレッスンをスタートした時に
最初にお伝えしているのですが、
時間が経つと忘れちゃうんですよね。
で。いつの間にか、
「ハノン面倒だし、つまんない」
「何だかよくわからないけど、
とりあえず1回弾いておくか…」
「レッスンの時だけ弾けば、まぁ、いっか」
「ダダダダ…!と間違えずに
速く弾ければそれでいいんでしょ」
…という感じに、だんだんと
テキトーに扱われがち。(;´Д`)

確かに、機械的に並べられた音符は
”音楽的”とは言いがたいですし、
「楽しい~素敵~♪」
と感じる人は稀ですね。(苦笑)
でも、
そんな機械的な音の繰り返しだからこそ、
指馴染みがよく、割とすぐに慣れてくるので、
他のこと(身体のこと、音色・音質など)に
気を配って弾く余裕が生まれやすい。
これこそがハノンの利点。

では何の目的でハノンを弾くのか。
(あくまで私の使用目的です)

・準備運動として
  ウォーミングアップ
  10本の指を同等に扱えるように
  鍵盤の間隔をつかめるように

・姿勢&手のフォームの確認
  最適な打鍵ポイントを見つける
  指の関節、手首の使い方など確認
  弾き癖(姿勢や腕、フォーム)の矯正

・指の強化
  どの指も同じようにスムーズに動き、
  平等な音(粒をそろえる)を目指す
  リズム変奏で苦手な指への適切な負荷
  リズム変奏で脳と指の連携を強化

・持久力をつける
  手指の負担となる無駄な力を使わず、
  弾き続けられるようにする

・譜面に慣れる
  初心者・初級者さんには
  オタマジャクシ(音の高さ)を読む練習
  リズム譜でリズムを読む練習


私の場合、
ざっとこんな感じの目的で使用しています。

ハノンには第1部~第3部まで、
全部で60の練習パターンが載っていますが、
主にレッスン使用するのは1~20番。
それが済んだら20番までを
ランダムに使用する場合もありますし、
人によっては、その後に出てくる
全調スケールやアルペジオへと
進んでもらっています。
(取り組んでいる曲の調性に合わせて、
単体でスケールを練習する場合もあります)

その他、ポイントとしては

  ・1冊丸ごと全部はやる必要はない
  ・長い時間かけて取り組む必要はない
  ・速く弾くことを目標にするものではない
  ・その人の状態に合った使い方でないと
   意味がない(=悪影響もあり得る)
  ・「ただ弾く」にならず目的意識をもって弾く
  ・ハノン以外の教材で補えることもある
  ・「ハノンを一生懸命やること」と
   「曲が弾けるようになること」は
   イコールではない
  ・ハノンに終わりはない!(笑)

といった感じでしょうか。

ハノン教本と出会って40年近くたつ私でも
ピアノの練習を開始する際は、
まず始めにハノンを弾いています(´ー`)
ランニングする前に屈伸運動などの
準備運動をする感覚と似ていますね。
そして、弾きながら、
背中、首、肩、腕、手首、指…と
意識を持っていき、
身体を上手く使えているかチェック。
そこから更に、音に神経を集中させ、
クリアで綺麗に均等な音が出ているか、
音の粒や質感をチェック。
それを済ませてから、
「曲」の練習に取り掛かっています。

ハノンを弾く理由、目的をわからずに
ただただ弾いていても無意味。
限られた練習時間がもったいない!
忙しい大人の生徒さん達、
目的意識をもって
効率よく取り組みましょう~。

もっと詳しく説明して欲しい方は、
レッスン時に質問してくださいね!

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交流会に参加された方は、
アンケート用紙の回答を、
7月中に提出してくださいますよう
お願い致します。
また、交流会の会計報告が
レッスン室に掲示してありますので、
気になる方は目を通してくださいね。

暑い日が続いています。
飲み物は持参して頂いてOKです。
遠慮なく水分補給をしてください。