指使いの疑問(その3)2018/10/03

一体いつまで続くんだ、指使いの話し…
と、思っている方もいらっしゃるでしょうが、
これで最後です~。(´ー`)
今日は、≪指使いに関する代表的な疑問≫
4・指使いってどうやって決めるの?です。
(1~3については前の記事を読んでね)

では、詳しく書いていきましょう。

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4・指使いってどうやって決めるの?

『楽譜に書いてある指番号の指使いで弾く』
これは、ピアノを弾くうえで基本ですので、
皆さん実践していると思います。
問題は、指番号の指示がない箇所です。
楽譜によっては1つも指番号が書いていない、
なんてこともありますよね。

まず、知っておいて欲しいこと。
  指使いに絶対的な『正解』はないが、
  『基本的な指使い』というものがある
ということ。

同じ曲でも演奏者によって
違う指使いで弾いていることはよくあります。
使用する楽譜よっても
指使いの指示が違うことはよくあります。

音楽的な流れや豊かな表現を損なわず、
無駄な力や余計な動作が加わらず、
自分が弾きやすいのであれば、
指使いは何だって構いません。
逆を言うと、
指番号が書いてある部分は、
その指示に従って弾いていけば
音楽を流れや適した音質を保ちつつ
身体に負担なく無駄なエネルギーを使わず、
効率的に弾くことができますよ、ということ。
だから指の指示がある場合は
原則として守ります。

「でも…弾きにくいから指を変えたい。
一体どの指にしたらイイのかな?」
「ここの箇所、指番号がないから困った。
どんな指使いで弾いたら良いのかな?」

こんなこと、結構あるんじゃないでしょうか?
自分で指使いを考えることが困難な場合は、
他の出版社が出している同曲の譜面を探し、
同じ部分の指使いがどうなっているのか
参考にしてみるのも良いですね。

ポップスなどアレンジされた譜面の場合には、
比べる楽譜が存在しないことも多いでしょう。
指番号が1つも書いてない楽譜の場合も、
他の譜面と比べる以前の問題ですよね。
そんな時は、自分で考える必要が出てきます。

普段、レッスンでこういう場面になった時は、
その場で私が指使いを決めて番号を書き、
レッスンを進めていくので、
大いに頼って頂いてOKなんですが、
問題は、自宅で練習や譜読みをする時。
「指番号がわからないから全く手が出せない…」
なんて事態になりかねません。
そんな時のためにも、自分自身で少しでも
指使いを考えられるようにしておくと便利です。

指使いを自分で考えるポイントは、
 『基本的な指使い』
 『フレーズごと』
この2つ。

まず、基本的な指使い。
もちろん例外も結構ありますが、
ちょこっと知ってるととても便利です。
ここ(ブログ)では一部を紹介しますね。

・ナチュラルポジション
 隣り合う5つの白鍵=12345とするフォーム
 つまり、隣りの音は隣りの指で弾く
・音階になっているところ
 上行時=3か4まで上行して1をくぐらせる
 下行時=1まで下行して3か4をかぶせる
 (上下とも2の後すぐに1を使うこともたまにある)
・アルペジオ(分散和音)
 和音として捉えた時の指使いを基本的に使う
・黒鍵からフレーズを弾き始める場合や、
 大事な場面での音を弾く際、
 1や5をなるべく使わないようにする
・同じ音が連続する時
 順に違う指に替えて弾く(ドドド=321、など)

ザっと考えついた代表的なものはこんな感じ。
これらを基本に、
オタマジャクシの並びに合わせて
指使いを考えていきます。
そこで大事になるのが、
2つ目のポイントの「フレーズごと」。

音楽には区切りがありますよね。
もしもメロディを歌うならブレスをするところ、
歌詞があるなら歌詞の言葉が切れるところ、
と考えればわかりやすいかと思います。
簡単で単純な曲ならば、2または4小節で
メロディが区切れることが多かったりします。
これがいわゆる「フレーズ」というやつですね。

指使いは”フレーズごと”考えると良いでしょう。
1つのフレーズに対し、音楽の流れを損なわず、
書いてある指示(スラーなど)を守りつつ、
無理なく合理的に弾ける運指を考えます。
ナチュラルポジションで弾ききれない場合は、
指を少し広げる必要が出てきますし、
それでも指が足りなくなる場合は、
指くぐり・交差で対応します。

1つのフレーズを弾き終えたら、
次のフレーズの始まりの指は、
また新たに設定し直します。
フレーズとフレーズの指の繋がりよりも、
フレーズ内の指の運びを大切にします。

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今日のまとめ。
4・指使いってどうやって決めるの?

指使いは、音楽的な流れを大切にし、
『基本となる指使い』をもとに、
合理的な指使いを考えながら
『フレーズごと』決めていきます。
「これが正しい指使い!」というものはなく、
人によって違ったりもします。
また、譜面によって番号が違うこともあるので、
弾きにくい場合などは、
他の楽譜の指使いを参考にすると良いでしょう。

と、こんな感じ。

知っておくと大変便利な
『基本的な指使い』ですが、
知識として知っているだけでは、
なかなか使いこなせるようにはなりません。
基本的な指使いをしっかりと身につけ、
実際に色々な場面使えるようになるために、
数々の『教本』『練習曲集』が存在しています。
(教本の目的はそれだけではありませんが)

当教室では、何の教材(楽譜)を使い、
どういった曲をどんな風に弾いていくか、
生徒さんの希望に合わせて
レッスンをしていますので、
教本や練習曲集を強制することはありません。
練習曲集などで基礎を学んでいる方もいれば、
弾きたい曲を中心に勉強している方もいます。

現在、練習曲集などをやっていない方で、
この記事で運指に興味を持った方、
基礎的な運指を身に着ける必要性を
日頃から感じている方は、
メニューに加えることも可能ですので、
相談してくださいね。

ふぅ。
長々と数回にわたり、
指使いに関して書いちゃいました。
文章では説明不足な点も多々あるかと思います。
読んでわからなかったところがあれば、
レッスンで遠慮なく質問してくださいね。

『芸術の秋』に何をする?2018/10/17

あんなに暑かった夏も過ぎ去り、
気が付けば10月も半ば。
最近は一気に秋が深まりましたね。

公園のイチョウが少しずつ黄色くなり、
ドングリが転がりキノコがにょきにょき。
赤トンボが飛び回り、
ミノムシはせっせと冬支度。
少し冷たい風が優しく肌をなでる。
空を見上げるとウロコ雲。
聴こえてくるモズの高鳴きと共に
どこからともなく金木犀のいい香り…。

はぁ~
秋ですねぇ~。(´ー`)


秋は、ゆったり穏やかに
時間が流れているような気がして、
心が落ち着きます。
うきうきワクワク、エネルギーに満ち溢れ
フレッシュな感じがする「春」に対して、
秋はまさに「熟す」といった雰囲気。
物事を深くじっくり考えたり、
追求するのに適している季節なんでしょうね。
だからこそ『芸術の秋』と言われるのかな?

皆さんも、この時期、
CDなどでじっくり音楽を聴いたり、
ピアノの練習に没頭したり、
音楽関連の書籍を読んでみたり、
ライブやコンサートに出かけたりして、
『芸術の秋』を堪能してはいかがでしょう?

…え?
そんなのは日頃からやってるって?

では、秋の夜長に
『音楽ドリル』なんてどうでしょう?

楽器屋さんや本屋さんの楽譜売り場には
『音楽ドリル』というものも売られています。
音楽理論、楽典に興味のある方や
楽譜に関する知識を整理整頓したい方は
一度やってみると良いと思います。
「楽譜に書いてあること」を
ピアノで弾いてみるだけではなく
勉強をしてみる、というのも
なかなか新鮮で楽しいかもしれませんョ。

市販のドリルは子供向けが多いので、
クマさんやウサギさんの可愛いイラストに
少し戸惑うかもしれませんが(笑)、
それで全く問題ありません。
種類は少なくなりますが、
大人向けに書かれたものもあるので、
見つかればそちらでもOKですよ。
(学ぶ内容は同じなので)
シリーズでレベル別に複数冊あったりします。
内容がだんだんと難しくなりますので、
パラパラと中身を見てみて、
「これならわかりそうかな?」
と思えたものを選ぶと良いでしょう。

普段、あんなに見慣れている楽譜なのに、
いざ問題として出されると、
あれれ?となるものなんです。(笑)
実際に自分で楽譜を書いてみると、
「あれ?音符の棒は右だっけ?左だっけ?」
「ト音記号ってどう書くんだっけ?」
「調号の付く順番がわからない~」
「そっか、#は嬰っていうんだっけ」
など、改めて再確認できることも多く、
勉強になること間違いなし!(゚∀゚)ノ

ドリルをやってみた後、
もっと深く理解したくなった!
ちゃんと勉強したくなった!という方は、
音楽理論の基礎である『楽典』の本を
読んでみるのも良いですね。

ドリルに挑戦したり楽典の本を読んで
「どうゆうこと((+_+))??」と
不明な点がある時は質問してくださいね。
レッスン時間内でしたら、
お教えすることも可能です。


さて、『芸術の秋』。

私はというと…
秋になり、何となく生演奏を聴く機会が増え、
歌曲を聴きに行ったり、オペラを見たり、
近所の可愛いお友達(中学生)の
吹奏楽(マーチング)を聴きに行ったり、
母校のピアノ演奏会に出かけたりしています。

そして今月は、
とっても楽しみな演奏会があるんです♪
ぐふふぅ~(*´m`*)
今からもうワクワクなんです~~~~。
これについては、
また、ブログでお話しできればと思います。

ではでは。
今回はこの辺で。

ポリーニのピアノリサイタル2018/10/23

10/21(日)
サントリーホールで行なわれた
ピアノ リサイタルに出かけてきました。
ピアニストは世界的に有名な
マウリツィオ・ポリーニ。
(1942年イタリア・ミラノ生まれ)
御年76歳。現代最高の巨匠ピアニスト。

前半のプログラムはショパン。
ノクターン、マズルカ、子守歌。
そして後半はドビュッシーの
前奏曲集第1巻、全曲。
アンコールはドビュッシー『花火』。

当日、プログラムの変更があり、
ショパン『ピアノソナタ第3番』が
聴けなかったのは残念だったけど、
でもでも!
それはそれは素晴らしい時間でした~。

さすがに若かりし頃のポリーニが持つ
「緻密でクール、巧みな演奏」という印象は
薄れたように思いますが、
年齢を重ね生じてきた変化…
これを「老い」という人もいるでしょうが
そんな単純なことではないと感じる
実に”深み”のある演奏でした。

…変化?進化?

現役で演奏活動を続け、
何十年と名曲の数々を弾き続け、
作品とピアノと、そして自分自身と、
真剣に向き合ってきたからこそ、
今の彼の演奏があるんですよね。

瞬間瞬間に生まれてくるあの音色、
時折聞こえてくるポリーニの息づかい、
会場のあの一体感、空気感、
曲が始まる直前のゾクっとするあの静寂、
すべてが特別でした。

で。私個人的には、
ショパン『子守歌(変ニ長調op.57)』で
次々と生み出されるポロポロ…という
柔らかく優しい音色にうっとり~。(*´Д`*)
心地良く幸せな気持ち包まれました。
そして、後半ドビュッシー『沈める寺』では、
自分自身がポリーニの音楽の底に
どっぷりと沈んでしまったような感覚に陥り、
これまた神秘的な体験でした。

はぁ~。
本当に贅沢で貴重な時間だったなぁ。
(チケットを譲ってくださったK田さん、
ありがとうございました~~~!!)

さぁ、エネルギーの補給をしたので、
私もピアノに向かって精進、精進。
また日々の練習に励みます!
76歳になった時、
私もピアノを弾いていられますように。
そして、進化し続けられていますように…☆

※写真※
ポリーニが愛用している
天才調律師アンジェロ・ファブリーニが
手を加えた特製スタインウェイのピアノ。
側面にFabbriniの名前が刻まれています。