「知らない」と言えますか?2021/05/15

ちょっと勇気がいるけれど、
自分を振り返りながら、
正直に書いてみようと思います。

***

何を隠そう、
私は「知ったかぶり」をする人間だった。
(一応、過去形にしておきます。笑)
小学校に入ってからだんだんと
「知ったかぶり」をするようになり、
知っているふりをしてその場をしのぎ、
「後から調べる・勉強する」という
スタイルをとってきた。(汗)

子供なら、成長過程において、
周りから「すごいね」と褒められたい、とか
相手に負けたくない、という気持ちから
「知ったかぶり」をしちゃうことは
わりと普通にあるんじゃない?
と思われがちだけど…
うーむ。
残念ながら私の場合は、
多分そういう感じではない。

「知らない」ということは、
超ウルトラスーパー恥ずかしいこと、で、
自分が「出来損ないのバカ者である」
という事実を認めなくてはならず、
「知らない」という場面に出くわすことは、
ある種の「恐怖」だった。
だから、知らなくても、
「知ってる」と言うようになったのだ。

…というのも、子供の頃、
家族との会話中に出てきた単語
(モノの名前や言い回し、歴史など)について、
間違えて解釈していたり、
「知らない、わからない」と言うと
2人の姉から「え~信じられな~い!」と
容赦なく馬鹿にされ、いつまでも笑われ、
両親(特に父)からは
「オマエはそんなことも知らないのか!」と
呆れられたり、叱られた。
まぁ、確かに、
算数や社会は大の苦手だったし、
読書が嫌いで本も読まず、
”お勉強”のできる子じゃなかったけどね。(汗)

日常的にこのようなことがあったので、
「知らない」ということは、
とても恥ずかしいことであり、
そんな自分はダメな奴で、
「知らないってことがバレたら大変だ!」
と思って生きてきたのだ。

だから、
周りの皆が知っていて自分は知らない、
という場面に出くわすと、
一瞬でピキーーーン!と何かが張り詰める。
その場では知ってるふりして平静を装いつつ、
後から必死で調べたり、勉強するのだ。
しかし、世の中なんて知らないことだらけ。
当たり前だけど、これには無理がある。
「知らない」ことに出くわす恐怖から
逃れられるはずもない。
そして、そんな動機で勉強したところで
「知ることが楽しい」
なんてこれっぽっちも感じるはずもなく、
武装したところで薄っぺらい知識、
当然ボロが出る。
自己嫌悪。
自信喪失。
…。(-_-;)

いい年をした大人になるまで、
この「知ったかぶり」で防御する癖が
ところどころで顔を出し、
自分自身が嫌になり、悩んだりした。

しかーーーーし!!
ようやくこの歳になって(←遅いよ!)
「知らない」と言っても大丈夫だし、
「知らないこと」を馬鹿にする人なんて
実はそんなにいないんだと知り、
素直に「知らない」と言えるようになった。
(時々、あまりにも自分が無知すぎて
思わず知ってる風に装う時もあるけど…苦笑)
武装するための勉強では
感じることができなかった
「知ることって楽しい!」という
純粋な気持ちを感じられるようにもなり、
大人になってからは
学ぶこと・勉強することが
ぐーーーーーんと楽しくなった。

***

そう思えるようになったキッカケ。
それは、この仕事。
生徒さんとのレッスン時間。

「○○って知っていますか?」
「××について、わかります?」
レッスン中に、私から
このような質問することがある。
もしも自分が生徒側の立場だったら、
ピキーーーン!と神経が張り詰めて
「知ってるふり」をしてしまいそうな場面。
恐怖の瞬間だ。
しかし、目の前にいる生徒さんが
恐怖で固まっている様子は見受けられない。
そして、「知りません」「わかりません~」
という答えが普通に返ってきたりする。

ある時、
このことについてじっくり考えてみた。
生徒さんから「知りません」と言われた時、
私自身がどう感じたのか??
そして、その後に何をしたか??

≪私の心の声≫
 うんうん、そうだよね。
 この知識は知らなくても無理はない。
 やってきていないのにわかるはずもない。
 知らないからこそ習いに来ているわけだし。
 つまり、ここまではわかってるってことか。
 じゃ、理解が浅そうなここから先を、
 レッスンで詳しく教えてあげよう。

「知らない」「わからない」生徒さんに対して、
私は頭の中で↑こんな風に考えていた。

≪その後の私の行動≫
そして、頼まれもしないのに、
参考になるプリントを作ってあげたり、
新たなレッスンメニューを組んであげたり、
知っておくと便利な音楽知識を
レッスン後にオマケでお教えてあげたりして、
そしたら、そのまま音楽談議に花が咲いて
楽しい時間を過ごしたり…。
なんてことが、しばしば。

≪その他、私の心境≫
この他にも、生徒さんが
自宅練習で疑問に思ったことについて、
「ここの部分が知りたいんですけど」とか
「ここ、ちょっと聞いてもいいですか?」
なんてレッスン中に質問をしてきた日には
その人の”やる気”が感じられて
「よっしゃー!教えたる!」と
嬉しくなってる自分がいることにも気付いた。


…ん?
まてよ?

「知らない」「わからない」ということを
素直に認めて口に出せる生徒さんって、
先生(私)から呆れられたり、
馬鹿にされるどころか、
よ…喜ばれている?
しかも頼んでもいないのに、オマケの知識を
ついでに教えて貰えたりしちゃってる!?
エッ (゚д゚)!?どういうこと??

長年、「知らない」ということを
正直に人に告げること、に対して、
マイナスのイメージしか持てなかった私。
だけど、レッスンで、
知らないことを素直に「知らない」と言い、
「ここがわからないんですけど…」と
質問をしてくる生徒さん達と
毎日のように接しているうちに
「え!これってマイナスではなく、
むしろプラスに働くことなのか!!」
と、気が付いたのだ。

これ、
私にとっては衝撃的なこと。
長年の「恐怖」から
解放された瞬間でした。

***

以上。
今回はちょっと勇気がいりましたが、
素直に「知らない」と言えなかった
かつての自分を振り返り
記事にしてみました。

普段は教える側の立場ですが、
日々のレッスンで生徒さん達から
私自身が教わることはとても多く、
色々なことを気付かせてもらっていると
感じています。
皆さんには心から感謝なのです!

私のように、「知らない」ということに
恐怖を感じる人は少ないとは思いますが、
大人になると、
知らないことを認めるのが、
「恥ずかしい」と思ってしまったり、
わからないことを認めるのは
「プライドが許さない」とか、
「つい見栄を張っちゃう」
なんて場合もあったりしますよね。

少なくとも、
私のレッスンではそれは不要。
そんな思いはポイッと捨てて、
どうぞ、あっけらかんと
「わかりませ~ん (゚∀゚)ノ」と
言っちゃってください。
そのほうが私から色々と聞き出せて
断然お得ですよ。(笑)

喜んで色々と教えちゃいます♪

コメント

_ 高木 亜古 ― 2021/05/17 19:17

ある日のレッスンで初見を見ていただいたときのこと、「Andanteはわかりますか?」と聞かれ「聞いたことはあります」と答えてしまいました 咄嗟になんだったっけ?知らないわけではなく今思い出せないだけで・・・でもきちんと答えられなかったのだからやはり「わかりません」と答えるべきでした ブログを読んで反省です(^^;

_ KIKKI ― 2021/05/19 00:09

「聞いたことはあります」は便利に使える良い返答だと思いますよ!
実際、私は「知ったかぶり」の癖を回避するために、
そういった言い回しを使って、少しずつ訓練(?)していきましたから。(笑)
嘘じゃないですし、でも「ハッキリとはわからない」というアピールにもなるし。
OKかと思います!(゚∀゚)v

コメントをどうぞ

※メールアドレスとURLの入力は必須ではありません。 入力されたメールアドレスは記事に反映されず、ブログの管理者のみが参照できます。

※なお、送られたコメントはブログの管理者が確認するまで公開されません。

※投稿には管理者が設定した質問に答える必要があります。

名前:
メールアドレス:
URL:
次の質問に答えてください:
Studio*ABE*で学べるのは何の楽器?

コメント:

トラックバック