コンディミだったのか!2021/11/19

つい先日の出来事。

現在、私が空き時間に
亀の歩みでコツコツと練習している
ショパンの『バラード1番』。

 え!先生なのに『バラ1』弾けないの?
 今になって譜読みしてるの!?
 という突っ込みはご遠慮願います。(笑)
 私もまだまだ勉強中なのですよ~(´ー`)

この曲の中盤に
何度、オタマジャクシを追って弾いても
「ややこしくて音が頭に入らない!キーッ!」
と、ボヤきたくなる箇所がありまして…。
闇雲に弾いても埒が明かないので、
一旦、ピアノを弾く手を止めて、
「これって何か規則性があるよね?
この音の感じ…知ってる気がする」
と、しばし楽譜とにらめっこ。


あ…
ピコーーーーン(゚д゚)!

これ、コンディミじゃん!


そうなんです。
ジャズではたびたび使われるスケール
『コンビネーション オブ ディミニッシュ』
(通称『コンディミ』)が
土台になっていることが判明。
(※ハーフホールトーンスケールともいう)

そうとわかれば、
意味不明に思えていた音の羅列も
ぐーんと親しみやすくなるし、
楽譜の音符を必死に追うことなく
音を探していくことも可能になり、
何度か弾くうちに指に馴染んできて
だんだんスムーズに♪
これ、
多分ジャズを勉強していなかったら
知らずにいただろうスケール。

楽譜にそって正しく音符を鳴らせれば
曲として完成していくクラシックピアノ。
クラシックのピアノ曲を弾くうえで、
「それが何という名前の
どんな音階なのか?」なんて
知らなくても特段問題はないのだ。

スケールを知らなければ当然、
その部分を何度も繰り返し弾いて
「身体に叩き込む」方法をとることになる。
ある意味、感覚的に丸覚えするしかない。
だけど理論的に考え、分析し、
理解&納得ができれば、
何十回と弾かずに数回でスッと
弾けちゃうこともある。
そして、成り立ちを理解している分、
頭に定着もしやすい。(=忘れにくい)

つまり、
ジャンルに捉われず幅広く学ぶことは
とても有意義である、ということ!
そして、柔軟な発想と応用力をもって
楽曲に取り組むことができれば、
近道にもなる、というわけ。

同じようなことが他にも…。
いわゆる『コードネーム』。

大人になり、
ジャズを通じてコードやコード進行、
前述したようなスケールについて
再度、勉強をし直してからは、
クラシックの曲を譜読みしていて
両手いっぱいに音が重なっている
複雑な和音の塊に出会っても、
「この響きは、えっと…あれか!」と
コードで考えたりするようになった。
わかってしまうと
「な~んだ~、早く言ってよ~」と
言いたくなるくらい、
ストンと腹に落ちるから不思議。
もちろん、
1音1音を確認して鳴らしている時よりも
サッと指を持っていく速さもアップ。
だから、時々ショパンの楽譜に
コードネームを書いちゃったりする。(笑)

理解しているに越したことはないのだ。

***

クラシックを弾ける人は
「楽譜に強い」なんて、よく言われる。
黒々としたオタマジャクシの行列を
読み進めながら、
次々と決められたとおりに
正確に鳴らしていくわけだから、
確かにスゴイことをやっている。

逆に、ジャズを弾ける人の中には
「楽譜は苦手で…」と言う人が多い。
だけど、ジャズを演奏するためには
音楽の骨格のようなものを理解し、
曲の流れ(進行)を客観的に感じつつ、
コードを元に、自分がチョイスした音で
ピアノを弾く必要がある。
これもスゴイこと。


『ジャンルに捉われることなく
ピアノで音楽を楽しもう!!』

↑これは、
小さな頃から私が持ち続けている感覚。
その感覚は今も変わらず生き続け、
そして、教室の特徴にもなっている。

Studio*ABE*の生徒さんには、
ジャンルを超えて興味を幅広く持って
ピアノを、そして音楽を、
総合的に楽しんでいただきたいなぁ。

そう願っている私です。(*´ω`*)

ピアノの先生と「コード」2021/11/29

「先生は、いつ、どんなキッカケで
コードを勉強し始めたんですか?」

先日、生徒さんから
こんな感じの質問を受けたので、
今回はその辺りのことを
書いてみようと思います。
(2回に分けて更新します)
1回目の今日は
≪ピアノの先生と「コード」≫です。

***

コードに関する質問といえば、他にも
「ピアノの先生ってどの人もみんな、
コードを理解しているの?」
「どの先生もコードを教えられる?」
「音大の授業でコードって習うの?」
…など、聞かれることがあります。

これ、答えは「NO」です。

もちろん、
理解していて弾ける方もいます。
授業で「コード」を扱ったりもします。
ですが、クラシックでピアノを専門に
勉強してきた先生に限って言うならば
「コードはよくわからない、弾けない」
という人が、案外多いのも事実です。

というのも、
例えば、音大か専門学校か、で、
学べるカリキュラムが違うからです。
クラシック音楽を中心に学ぶのか、
ポピュラーやジャズを学ぶのか、など。
更に、専攻や選択コースによっても
勉強する内容は変わります。

クラシックの楽曲を
「演奏すること」が学びの軸となる
音楽大学のピアノ科。
和音(コード)の成り立ちについては
基本的なことを習う程度です。
それに対し、
ジャズピアノを学んだ人であれば、
「ジャズを演奏すること」以前に
まずコードを知る必要があるので、
当然、わかっているはずです。
あと、作曲を専攻している人も
音楽の成り立ち(骨組み)となる
「和声学」をしっかりと学ぶので、
もちろんコードはわかるでしょうね。

※超シンプルに説明すると、
「コード理論(コード/コード進行)」は
「和声学」から派生したものです

つまり、
達者にピアノが弾ける先生だとしても、
「譜面をその通りに弾くこと」しか
してこなかった人だと、
「コードはよくわからない」と
なったりするワケです。
学生時代に「和声学」の基礎程度は
授業で習っているはずなので、
それをコードに置き換えて考えれば、
理解できるはずなんですけどね。
(例えば、和声学で習う『属七和音』は
『ドミナントセブンスコード』というように)

「クラシックの楽曲を演奏し、
その演奏技術を磨いていくこと」を、
学びの目的としていた場合、
レッスン曲以外の楽曲を
(特にクラシック以外のジャンルなど)
遊びで弾く機会は減るでしょうし、
洒落た響きだからといって
その和音の成り立ちを分析したり、
それを真似て曲を作ってみる、
などといったことが
”無駄な時間”に思えてしまうのも
無理はないのかもしれません。

・曲を弾く上で必要性を感じていない
・和声学の基礎をよく理解していない
・和声学をすっかり忘れてしまっている
・「和声」を「コード/コード進行」として
 変換して考えたことがない
・理解していても実践にいかせない
(どんな風に弾けば良いのかわからない)

これは、日々ピアノに向かい、
レッスン曲を真面目に練習し、
「演奏だけ」を軸に勉強してきた
ピアノの先生”あるある”な気がします。

さて。
私自身を振り返ってみると、
「真面目」とは程遠く…。

≪不真面目&遊び弾き≫

↑この言葉に尽きます。(笑)

ということで、続きは次回!
私がコードをいつ頃から意識し、そして、
コードをどのように勉強してきたのか、
を書こうと思っています。

***

今回のまとめ。

一般的なピアノの先生は、
クラシック音楽を中心に学び、
演奏技術を向上させるために
子供の頃から練習に練習を重ね
真面目にピアノと向き合ってきています。
譜面に書かれたピアノ曲であれば
素晴らしい演奏をされることでしょう。

…が、「コード」となると話は別。

コードに関しては、
ジャズ系、ポピュラー系の先生、
(それらを勉強したことのある先生)
或いは、作曲系の先生のほうが
確実に理解されているかと思います。

***

続きの記事、≪私と「コード」≫は
もうしばらくお待ちあれ。(´▽`)ノ