便利な『ターン』の音使い2021/10/14

装飾音符ターン
S字を横にしたような記号、
見たことありますか?
『ターン』という装飾音符の記号です。
クラシックを学んでいる人なら、
これまでに1度くらいは
目にしたことがあるのではないでしょうか?
(※写真はショパンの有名なノクターン
「Op.9-2」に出てくるターンです)

装飾音符というと、
『前打音』や『トリル』などが
よく知られていますが、
実はいろんな種類があります。
その中でも『ターン』は
使われる頻度はそう多くないですが、
知っておくと(弾けるようにしておくと)
ピアノで遊んだり
アレンジやアドリブをする際に
ちょっと役立ちます。(^-^)
クラシックを学んでいる方だけでなく、
ジャズを勉強中の方にも
身近に感じてほしい音使いです。

***

さて。
この記号、どう弾くのか。

例えば、『ド』の音符のところに
ターン記号が書いてあった場合、
「ド→レ→ド→シ→ド」
といった具合に弾きます。
親音符である『ド』を中心に、
2度上と2度下を行き来する感じですね。
この5つの音で「1セット」と捉えます。
(※細かな説明は省きます)

装飾音符として演奏する場合、通常、
親音符が持つ音価(音の長さ)の中で
この5つの音を弾くことになりますが、
今日は、譜面上のターン本来の
拍やリズムはちょっと横に置いておいて、
その「音」のみに注目!
なぜ?って、
このターンの「音並び(音使い)」こそが
遊びの場面、アレンジやアドリブで、
とっても役に立つんです。

ポップスやジャズを弾く際、
テーマメロディをいじったり(フェイク)、
コードにそってアドリブを弾いたりしますよね。
その時、このターンの音を使えば、
簡単にアレンジができるんです。

例えば…
ジャズ好きなら誰もが知ってるこの曲、
『Take The A Train』(A列車でいこう)。

テーマの歌い出し、
1小節目はG(ソ)の全音符。
つまり、「ソ ー ー ー」と伸ばしっぱなしです。
「さぁ、メロディをいじってみましょう」
と言われても、元の音はGのみだし、
何をどうしたら良いのやら?と困りますよね。
レッスンでジャズを学んでいる方なら、
・リズムを刻んだり、休んだりしてみる
・半音下のF#(アプローチノート)を使う
・コードトーンを使ってみる
くらいは思いつくかと思います。

うーん。他に何かできないかな?
もっと音を遊べないかな?
ワンパターンになっちゃうなぁ。

と、そんな時に試して頂きたいのが、
ハイ、こちら!!
今日、皆さんにオススメする
便利な『ターン』の音使い!
…って、
なんだかテレビショッピング的な
ノリになってしまいましたが、(笑)
でも、覚えておいて損はないです。

この場合、Gを親音符として考えるので、
ターンの動きに当てはめると、
G→A→G→F#→G
(ソ→ラ→ソ→ファ#→ソ)
と、なりますね。

※なぜFを # するのか、など
詳しい説明が必要な方は
レッスンで質問してください

鳴らすべき音がわかったら、
あとは伸ばしっぱなしのGが持つ4拍分で、
自由に、お好みで各音を割り振って
弾けばOK。それだけです。

このターンの動きは、
実際には5つの音を弾くことになりますが、
ターゲットとなる音(親音符)そのものを
単に装飾しているだけなので、
元の音「1音」だけを弾いている感覚で
使うことができます。

小さな記号で表せるターンですが、
上がったり下がったりグルリと動くので
本来の音を豪華に飾ってくれるんですね。

余談ですが、ターンの動きを知るには、
ブルグミュラー25練習曲集の
8番『優しく美しく』が参考になります。
ターンの音使いが記号ではなく、
オタマジャクシで書かれているので、
実際に弾いてみると、
その動きと音の流れがよくわかりますよ。
楽譜をお持ちの方は、
1度チェックしてみてくださいね。

***

♪フフンフン~~~

お風呂で湯船に浸かりながら、
ご機嫌で鼻歌を歌う時に、
その曲の譜面を頭に思い浮かべ
拍を数えて、ドレミを考えて
歌っている人って、多分いませんよね?

気楽に、リラックスした雰囲気で、
気持ちよ~くその曲を楽しみながら
自然と自分でアレンジして
歌っているものです。

ピアノも同じ。
楽譜に忠実に、
正しく弾くことももちろん大事。
だけど、たまにはちょこっとアレンジして
自分流にメロディをいじったりして
自由に遊んで弾いてみてください。

鼻歌を歌うようにピアノが弾けたら、
最高に楽しいですよ~~~♪
さぁ、ターンの音で遊びましょ。
ピアノでもっと遊びましょ。(*´▽`*)

3拍子=ワルツなの?2021/10/25

レッスンで3拍子の曲に取り組む際、
「この曲はワルツですね♪」
なんて言われることがあります。
3拍子=ワルツ、と認識している人、
実は結構いらっしゃいます。

説明をして曲を想像してもらうと、
皆さんすぐに納得してくれるのですが、
3拍子はワルツとは限りません。
例えば、
唱歌の『海』も『ぞうさん』も3拍子ですし、
ミュージカル・映画音楽で有名な
『エーデルワイス』や『ムーンリバー』
なども3拍子です。
千昌夫さんの懐メロ(演歌に近い?)
『星影のワルツ』に至っては
ワルツの文字がタイトルに入っています。
こちらの曲も3拍子です。

これらの曲はワルツでしょうか?
ワルツって一体なんなんでしょう?

***

ワルツは「円舞曲」とも言われ、
もとは踊りのために作られた舞曲です。
いわゆる「ブンチャッチャッ♪」という
伴奏スタイルを持つ音楽。
皆さんのイメージ通り、3拍子です。
社交界の場で男女が抱き合うようにして
クルクルと優雅に回りながら踊ってる
あの曲、あれがワルツですね。
19世紀に入って一世を風靡しました。
『美しき青きドナウ』などは
誰もが知っている
ワルツの代表曲ではないでしょうか。

ちなみに、舞曲といっても
踊りのために「伴奏音楽」として
作られたとは限らず、
純粋に「音楽作品(楽曲)」として
作られたものも含まれています。

舞曲自体の歴史を調べると、
16世紀頃のパッサカリアやシャコンヌ、
17~18世紀頃には
サラバンド、メヌエットなどがあり、
そして19世紀になるとワルツが大流行。
その頃には
マズルカやポロネーズといった
他の舞曲も注目されるようになりました。
ショパンは、『子犬のワルツ』をはじめ
いくつものワルツを残していますが、
マズルカやポロネーズも
たくさん作曲していますよね。

じゃぁ、
舞曲イコール3拍子ってことなの?
と、思ってしまいそうですが、
舞曲にも4拍子や2拍子のものもあります。
…ですが!
上記にあげた舞曲は
どれも基本的には3拍子のものばかり。
3拍子は踊りから生まれたリズムなんです。

「ワルツ」ほどは
知られていないかもしれませんが
「メヌエット」「ポロネーズ」など
その名前くらいは何とな~く
聞いたことがあるのではないでしょうか。

***

ということで、本日のまとめ。(´ー`)ノ

現在、私達が耳にしている音楽には
3拍子で作られた曲が
年代や音楽ジャンルに関係なく
た~~~くさん存在しています。

もともと踊りをルーツに持つ3拍子が
19世紀に「ワルツ」という形で大流行し、
踊るためだけでなく、音楽鑑賞用の
「楽曲」としても多く作られました。

それが今日に至るまで
皆に愛され、受け継がれ、
現代では、単に3拍子というだけで
曲名『○○のワルツ』など、
「ワルツ」がつけられほどになりました。
そんな流れから、
「3拍子=ワルツ」と、
認識されるようになったんですね。
”イコール”ではありませんが、
まぁ、3拍子の代表的な音楽…といったら、
ワルツであることは間違いないでしょう。


さぁ、あなたは3拍子の曲、
いくつくらい思いつきますか?
これまでに弾いたことはありますか?

それがワルツなのか、
ワルツっぽい雰囲気の曲なのか、
ワルツではない別の踊りを
ルーツに持つ曲なのか、
単に3拍子で書かれただけなのか…
これを機に考えてみてくださいね。

今まで以上に、3拍子のリズムが
楽しめるようになると思いますよ♪


* お知らせ *

9月30日
緊急事態宣言が解除されました。

緊急事態宣言中は、
感染状況の見通しが立たないことや
不要不急の外出の自粛などの観点から、
1回ごとの予約&支払いでも
レッスンを承っておりましたが、
宣言が解除されたことをうけ、
Studio*ABE*では10月より
「通常レッスン形態」に戻しております。
※感染対策は引き続き行なっております

当教室はもともと
「1レッスン制」ではありません。
レッスン料金は『月謝』として、
その月の初回レッスン時までに
1ヶ月分をお納めいただいております。

ご理解のほど宜しくお願いいたします。