ストリートピアノに想うこと2023/04/26

最近、ストリートピアノにまつわる
あまり喜ばしくないニュースを目にした。
何やらマナーを守らない利用者がいて
とある駅に設置されていたピアノが撤去された、
という内容である。

出先でピアノを見かけただけで
「わぁ~~ピアノ~~(*´ω`*)」と
幸せ&嬉しい気持ちになる自分にとっては、
撤去だなんて、悲しいできごと。
…とはいえ、そのピアノを、
誰が、どんな曲を、どんな風に弾いているのか、
で、その気分が良くも悪くも変化するのは、
紛れもない事実。

***

私の中で「ストリートピアノ」は
その時間、そこにある日常に、
そっと彩をそえるBGM的なもの、
というイメージだった。
そこにいた顔も名前も知らない人々と
流れる時間を共有する中で、
ちょこっとだけ、
音で「居候」させてもらうような感覚。

だから、
そこまで主張はせず、だけど、
「ただピアノが好きなんです」という
弾き手のその雰囲気が感じられることに
魅力を感じていて、
上手い・下手とかは関係なく、
素直に微笑ましい気持ちになれたのだ。
「ピアノの音色」を通じて
時間を共有する感覚。
そんな想いもあるから、
なかなか勇気が出ないけど
たまには自分も弾いちゃおうかな…
と思ったり。(時には弾いたり。)

ところが、数年前くらいから、
ストリートピアノの持つ雰囲気が
明らかに変わってきて、
その場に溶け込む「素朴な音」は
隅っこに追いやられ、
ある種「ステージ」のような扱いがされ、
「演奏」が堂々と主張をし始める雰囲気に。
(私がそう思うだけかもしれないけれど)

そうした中、どんどん増えていったのが、
演奏自慢系のピアノ弾き、や
ピアノ系ユーチューバーの存在。
「すごい!!」と言わせる演奏。
そして、
それを聴いて「スゴイ!」と感じちゃう人々。
この図ができあがってしまったのだ。

派手なアレンジで、手数多く弾きまくり、
大音量でオクターブを連打し、
速いパッセージを、どうだ!と繰り広げる。
弾き終えると、
一応軽く椅子からお尻をあげるものの、
その場を離れるわけではなく、
キョロキョロ見渡しただけで、
また座って弾きまくる。
(弾こうかな…と立ち止まっているのこと人も、
自分の観客だ、と思っているのかな?)

確かにすごいよ。スゴイのだ。
テクニックは上級レベルの方々ばかり。
そりゃ、その演奏を「かっこいい」と感じ、
「すごい!」と称賛する人も出てくると思う。
ユーチューバーだとファンもいたりして、
その場は盛り上がるよね。

でも。
動画を撮影して延々と弾いている人や
超絶技巧をこれでもかと弾いている人、
それに群がる人々を見かけるたびに、
私の「わぁ~ピアノ~(*´ω`*)」という
幸せ&嬉しい気持ちは急降下↓↓。
私、個人的には「すごい」という演奏には
あまり魅力を感じないので、
「なんだか違うんだよなぁ」と
感じてしまう今日この頃。

そんな矢先に知った
今回のニュースなのでした。
(撤去の原因は、延々と弾く、大音量で弾く、
などのようでユーチューバーとは限りませんが)

***

私はきっと、ストリートピアノで、
この教室(Studio*ABE*)に
ピアノを習いに来ている皆さんのような人の
演奏が聴きたいんだろうなぁ~、
なんてふと思った。

生徒さんはどの人もみんな
ピアノを大切に扱ってくれるし、
丁寧な音色で演奏してくれるし、
雑に弾き散らかす人は1人もいない。
選曲も素敵なものがたくさん!
そして何より、シンプルに
「ただピアノが好きなんです」
という想いが溢れてる。

街中にあるピアノや駅ピアノが
適切&大切に扱われ、
奏でられる音楽がその場に溶け込み、
老若男女、上手い下手関係なく、
ルールやマナーを守って
誰もが「ちょっと弾いてみるね♪」と言って
気軽に触れる雰囲気。
それを、近くに居合わせた人が
微笑ましく眺め、聴く雰囲気。

この先、
そうなってくれたらといいなぁ~と
心から願う私です。