(2)レッスンってどういうもの?2022/03/09

前回は、今更シリーズ(1)として
≪練習はいつ、どこで?≫
という記事を書きました。
今回はその続き、今更シリーズ(2)。
≪レッスンってどういうもの?≫
です。

前回の記事で少し書きましたが、
幼少期よりピアノを始めた私にとって
レッスンとは、
・家で練習してきたことを見てもらう
・改善点をアドバイスしてもらう
・不明なところを質問して教えてもらう
こういうものだと思ってきました。

子供時代、レッスンが終わると、
「じゃぁ、家で練習してきてね~」と
帰る際には先生に言われたし、
次の時に弾けていないと怒られたので、
『レッスンは練習の成果を見せる場であり、
次へのヒントをもらって帰る場』
という認識へと自然となっていました。

…といっても
何度もブログ内で書いている通り、
練習熱心な生徒ではなかったので、
家での練習は適当で時間も短かったし、
指導やアドバイスも話半分で聞き、
子供の頃はクラシック音楽に
さほど興味を持てなかったこともあり
自分から積極的に質問することもなく、
今、思うと、
「ぐあぁ~~!なんて勿体ない!!」
という内容のレッスンを受けていました。
特に、音高・音大時代の
レッスンに対する自分の主体性の無さ。
悔やんでも悔やみきれません。

そんななので、
ロクに自宅練習できていない状態で
レッスンに行くことも多く、
当たり前ですが、
・怒られる ・イライラされる
・呆れられる ・ため息つかれる
・先生がどこかにいなくなる
(=レッスンする価値無し/自己練の時間)
・練習をしに来たなら帰りなさい、の一言。
(=楽譜を閉じられレッスン強制終了)
とまぁ、
こんな感じになるわけです。(汗)

そりゃ、そうです。
自業自得。
音楽の道に進みたいと考え、
キラキラと目を輝かせて、
「知りたい」「習いたい」
「弾けるようになりたい!」
という門下生がたくさんいる中で、
こんなナメきった奴…。
先生も教える気を失って当然です。(-_-)
イライラしないわけがない。

***

ところが。
ところが…なのです!

私自身が教える立場になって
意外なことが判明。
「レッスンはこうでありたい!」
「こうあるべきだよなぁ~」という
先生側(私)からみた
理想のレッスンはあるけれど、
生徒側の都合で
その理想が叶わなかった場合でも、
それはそれとして、試行錯誤しながら
楽しくレッスンしている自分がいたんです。

あら、不思議。(笑)

もちろん、
「音楽の道に進もうとしている弟子」の
指導にあたる先生方と
「趣味の大人の生徒さん」を
教えている自分では立場が違うことは
百も承知しています。

でも、思うんです。
レッスンにおいて、
私が教えたいレッスン内容が
その人の教わりたいこととは限らないし、
私ができるようになってほしいレベルが
その人の希望と一致しているとは限らないし、
私が教えたいやり方(指導法)が
その人に適しているとも限らないし、
私が教えたいスピードに
その人がついてきてくれるとは限らない。

そんなわけで、
20年以上の大人への指導経験から、
大人のレッスンの肝は、
先生側が思っている
『理想のレッスン』を一旦横に置き、
いかに生徒さんの気持ちに寄り添って、
柔軟にすり合わせることができるか、
この一点に尽きる気がしています。

ここに関して、私は、
割と平気なタイプだったんでしょうね。
(もとの性格がチャランポランだから??)
生徒さんが弾けなくてもイライラしたり、
怒りたくなることはまず無い。(´ー`)v
生徒さん1人1人に対し、
「さて、どう攻略しよう?」という感覚で
楽しんでレッスンを組み立てています。

…とはいえ、前述した通り、
私にも『理想のレッスン』はあります。

・自宅で練習(復習)をしてくれている
・アドバイスにまずは素直に従ってくれる
・「わからない」を放置せずに伝えてくれる

言葉にすると、こんな感じでしょうか。
こう状態でレッスンがおこなえると、
その時間は燃えますね~~~~~!!
熱が入りまくります。
私の知識・技術・経験、
ドバドバ大放出です。

ムフ。(*´m`*)
お気付きになりましたか?
この理想…、
長年ピアノと関わってきた私が
「ピアノのレッスンとはこういうもの」
と幼少期から認識していた内容
・家で練習してきたことを見てもらう
・改善点をアドバイスしてもらう
・不明なところを質問して教えてもらう
↑結局は、これらと一致しているんです。

***

この、私の思う理想的なレッスン。
これがおこなえることは、
実は生徒さん側にとっても、
メリットが大きいです。

自宅で練習をしていなかった場合、
レッスン時間を使って、
私に付き添われ、見守られながら
「練習」をすることになります。
そのようなケースは
大人のレッスンではよくありますが、
本来、家で時間をかければ
生徒さん自身でできることなのに、
(自力で練習できるよう指導しています)
私が練習に付き添うわけですから、
何ともったいないことか…。

それに、レッスンの場で
必死に練習している段階では、
私が横から何か指導をしても
聞く&やってみる余裕が生まれず
かえって混乱するので、
色々アドバイスがあっても
そのうちの少ししかお伝えできません。

だからこそ、毎日10分。
自宅練習をしてみてください。
家で練習をした分、
レッスン内のアドバイスが増えます。
更に、練習をすることで
知りたいことが生まれます。
(練習せずして疑問などわかない)
それらはレッスン時に解決できます。
知りたくなったことは
何でも質問してください。(´ー`)ノ

私は今後も、
皆さんのご要望とその方のペースに
寄り添ったレッスンを心掛けます。
…ですが、
レッスンとは本来、
学び手である生徒さん側の
「知りたい」「習いたい」
「弾けるようになりたい!」という
欲求と積極的な行動によって
その内容の濃さが増すものです。

先生(私)という人間を
『練習のお供』としてではなく、
『先生』として、レッスン時間に
大いに活用してください。
私はいつでもその準備をして
皆さんがレッスンにいらっしゃるのを
お待ちしています♪

今更ではありますが、
教える側、習う側の双方にとって
「レッスンとはどういうもので
どうあるべきか?」という内容で
改めてお伝えしてみました。


今更シリーズ(笑)で、
取り上げてほしいネタがありましたら
お知らせくださいね。

(1)練習はいつ、どこで?2022/02/24

誰もが知っているとは限らない!
ピアノレッスンにまつわる基本の「き」。
今回は今更シリーズ(1)として
≪練習はいつ、どこで?≫
という記事を書こう思います。

***

ピアノが弾けるようになりたいなぁ~。
そうだ、ピアノを習おう!
ピアノ教室に通おう!と
勇気をもって一歩を踏み出した方を
私は心から応援しています。

レッスンではなるべく、
わかりやすく丁寧に説明し、
どうすれば良いか明確に伝え、
興味を持ってもらえるよう工夫し、
楽しく取り組んでいけるように…を
モットーに指導をしていますが、
それ以前の”根本的なところ”で
アレ?ちゃんと通じてないかな!?
と、何となく違和感を覚えることも
時々あるものです。

長年にわたって
ピアノに携わってきた者からすると
『当たり前・普通のこと』として
認識していることでも、
初めてピアノをスタートする方にとっては
『知らないこと』の可能性もあるから、
お互いに「えぇーー!そうなの?」と
ビックリすることもあるんですよね。

かつて私のところに習いに来た人で、
「レッスンに通えば弾けるようになる」
「先生は弾けるようにしてくれる」
と、思っていた方がいらっしゃいました。

ピアノが弾けるようになるには
自宅練習が必要であるということを
まったく知らなかったようで、
家での練習方法を伝えると、
「えぇ~(;´Д`) 宿題あるの?」
と言われてしまい、
衝撃を受けた覚えがあります。

私もアレコレ工夫しながら
なるべく現場のみ(笑)で済むように
彼女とのレッスンを試みましたが、
「家での練習がしんどい、大変」
「弾けていないことを指摘されると
レッスンでみじめな気分になる」
「いつまでたってもショボイ曲ばかり」
「弾けるようにしてくれると思ったのに…」
と言い残し、教室を去っていきました。

もう随分と前のことです。
今でも思い出すと、
ギュッと胸が締め付けられ、
複雑な気分になります。(´・_・`)

長年ピアノと関わってきた私にとって
ピアノのレッスンとは、
・家で練習してきたことを見てもらう
・改善点をアドバイスしてもらう
・不明なところを質問して教えてもらう
こういうものだと思っていたので、
自分にとっての「当たり前&普通」が、
初めてピアノに関わる人とでは
こんなにも違うのか!!(驚)
…となったワけです。

ということで、
基本の「き」である『練習』について、
何を今更?と感じるかもしれませんが、
ここ(ブログ)に書いておきます。
今、Studio*ABE*に通われている方は
知っている内容かと思いますが、
「これからピアノを始めようかな?」
「どこかの教室で習ってみようかな?」
という人の参考になれば幸いです。

***

ピアノは練習なしに
弾けるようにはなりません!!
音遊びをするならまだしも、
楽曲を弾けるようになるには
(よほどの才能が無い限り)
練習は必須です。

練習は毎日コツコツと、が基本です。
毎日30分~1時間できたら理想的。
が、しかーし!
忙しい大人の学習者は
その時間の確保がなかなか大変。
そんな場合は、
たとえ10分でも構わないです。
短い時間だったとしても、
「毎日、練習すること」の方が大事!
もしも夜間でピアノが鳴らせないなら、
楽譜を眺めて復習するのだってアリ。

「週末に一気にまとめて時間を取る」
という人もいるかと思います。
このやり方でも、
練習にはなるので否定はしません。
ですが、「毎日コツコツ」の代わり、
というわけにはいかないので、
そこはちゃんと理解しておきましょう。

残念ながら、
”同じ効果”は得られないのです。

何故なら、
練習によって脳ミソが覚えた音符や
得られた身体的な感覚は
時間の経過とともに忘れ
徐々に失われていくものなので、
復習までの時間が空けば空くほど
ゼロに戻ってしまうから。

だから、確実な進歩や上達
(つまり「弾けるようになる」)
を望むのなら、
少しの時間でも良いので、
毎日コツコツと、が基本なのです。
「できそう、できた、こんな感じか!」と
掴めかけた感覚を失ってしまわないうちに
ちょっとずつで良いので積み重ねる!
これ、ホントに大事。

忙しく限られた時間の中、
毎日、練習時間を確保する。
たかが10分、されど10分。
これがなかなか大変。
よくわかります、はい。
その10分を無駄にしないためにも、
練習内容や練習の仕方にも
充分に気を配りたいところ。

楽譜を広げて、曲の頭から
つかえながらただただ弾いて
ヨロヨロと最後まで辿りつき、
「ふぅ~10分は弾いたし、ま、いっか」

これ、練習とは言いません。(-_-;)

「今日は何を目標にしよう?」
「どこが弾けていないかな?」
「どんな練習をすれば良いかな?」
10分しか時間が取れない時は、
やっつけたい箇所をピンスポットで
狙い撃ちしてください。(笑)

練習すべき箇所、練習の仕方などは、
レッスンで教わるはずです。
よくわからない場合は
遠慮せずにどんどん質問しましょう。
もしもそれで、嫌な顔をされたり、
間違いを注意するのみで、
なぜ間違えが起きるのか?の説明や
練習の仕方を教えてくれない先生なら、
思い切って先生(教室)を変えることを
検討しても良いと思いますよ。

それくらい、
『家に持ち帰って練習すること』
って大事なんです。

いくら弾けるようにしてあげたくても、
先生ができることは限られています。
だから、先生はレッスン時間を使って
全力でサポートします!!

最終的に弾けるようにするのは、
あくまで自分自身。

そのことをお忘れなく~。(*´ω`*)

私と「コード」2021/12/07

今日のブログは
≪11/28 ピアノの先生と「コード」≫
の続きの記事です。

***

「不真面目&遊び弾き」
この言葉に尽きる私のピアノ歴。
先生としてどうなのよ?
…と思われるかもしれませんが
正直に綴ってまいります。(笑)

まぁ~とにかく楽譜通りに弾かず、
すぐにテキトーに弾いて、
楽譜を読まない子供時代。
「こっちの方がかっこいい」とか言って、
勝手に音を変えて怒られたり、
アレンジするのは日常茶飯事。
幼稚園の頃から自由気ままに作曲。
練習(レッスンの宿題)もせずに、
即興で延々と弾き続けて
ピアノの練習時間は、ハイ、終了。
小学生くらいになると作曲の他に、
合唱などの伴奏にも目覚め
「弾き語りスタイル」で歌いまくり。
その他、気に入ったフレーズや
洒落た音使いを耳コピーしては、
それらをせっせと
練習しているような子でした。

作曲、アレンジ、伴奏、などなど、
ピアノでいろいろ遊んでいると、
調性や音階など音楽の基礎は、
「勉強」と感じないまま、感覚的に、
自然とわかるようになっていきました。
そのうち、7thコード(4和音)以上の
凝った響きを求めるようになり、
和音の移り変わり(=和声)にも
興味がわくようになった頃、
『コードネーム』の存在を知ることに。
これって何?どういうこと?と、
知りたい気持ちがムクムク、ムクムク。
自分が見つけた「イケてる響き」…
この音がいったい何という和音なのか?
そんなことが気になって、
自分なりに本で調べたりして、
少~しずつ知識を増やしていきました。

なので、コードへの導入は
完全に自己流&独学。

「よし、コードを理解しよう!勉強だ!」
と、始まったわけではなく、その逆で、
「今おさえて鳴らしているこの和音、
かっこいい響きだけど何て名前?
自分も曲を作る時に鳴らしたい&
使いたいから理解しておきたい!」
今思い返せば、この想いが、
”コードを学び始めたキッカケ”と
いえそうです。

***

中学に入ると音高受験へむけて、
先生について「楽典」を学ぶことに…。
「楽典」は音楽のルールとなる
基礎知識・音楽理論を学ぶ学問。
「音程」や「度数」など、
コードの土台として必要な内容ばかり。
今まで自分が感覚的にしてきたことが
理論的に裏付けされる感じがして、
楽典の勉強はとにかく楽しく、
ぐんぐん惹きこまれていきました。

この頃になると、
コード譜(メロ譜)を見て
適当に伴奏付けしながら歌ったり、
自作のメロディにコードを付けたり、
それに手を加えて複雑に改良していく、
なんてことも、ヘナチョコ自己流ながら
できるようになっていました。

その後、音高&音大の授業で、
和声学の基礎を学ぶわけですが、
当然、クラシック音楽。
でも、私が興味ある音楽と言えば、
ジャズやポピュラー音楽だったので、
学校で習った和声学をもとに、
それをコードへと変換しながら
練習&勉強はそっちのけで、
「ジャズもどき」を弾いたりしつつ、
そのまま卒業。

そして、
Studio*ABE*でピアノを教えつつも、
「うーん、クラシックもいいけど…
ちゃんとジャズを学びたい!!」
という気持ちが膨らんできたため、
先生についてジャズを勉強。修行。
ジャズの楽曲を使いながら、
コード理論を頭に入れなおし、
ヴォイシング(実践的なおさえ方)も知り、
ジャズで使われる進行、スケールなど、
新たに知識を増やしていったワケです。

***

まとめ。

私が子供だった頃は、今と違って
「ピアノを習う」と言えば、
それは当たり前にクラシックだったし、
クラシックを中心としたピアノ教育は
「楽曲を楽譜どおりに演奏すること」
が大前提でした。
だから多くの子供たちが、
そこに何の疑いも感じず従順に従い、
素直に練習を重ねていたんだと思います。

そう考えると、
多分、私は幼少時代から
楽譜をそのまま弾くだけじゃ物足りず、
自分で曲を作ったり、
かっこいい響きやフレーズを
探すことにワクワクしていたので、
「クラシックピアノを弾く」ことではなく、
もっと広~~~い意味で、
≪音楽≫を楽しみたかったのかも?
と思ったりします。
≪音楽≫を楽しむための道具として
ピアノを扱っていたように思うのです。

楽譜通りにピアノ弾くだけなら
コードの知識は必須ではありません。
でも、音楽そのものを楽しむには
コードを知っていると
ぐーーーーんと楽しさが広がります!

この記事を読んで、
コードに興味が出てきた!という方、
レッスンに取り入れることもできます。
自分で本を買って
勉強してみるのも楽しいですよ。

視野を広げて、
ピアノと付き合ってみてください。
この先も、長~~く楽しめるはずです♪

ピアノの先生と「コード」2021/11/29

「先生は、いつ、どんなキッカケで
コードを勉強し始めたんですか?」

先日、生徒さんから
こんな感じの質問を受けたので、
今回はその辺りのことを
書いてみようと思います。
(2回に分けて更新します)
1回目の今日は
≪ピアノの先生と「コード」≫です。

***

コードに関する質問といえば、他にも
「ピアノの先生ってどの人もみんな、
コードを理解しているの?」
「どの先生もコードを教えられる?」
「音大の授業でコードって習うの?」
…など、聞かれることがあります。

これ、答えは「NO」です。

もちろん、
理解していて弾ける方もいます。
授業で「コード」を扱ったりもします。
ですが、クラシックでピアノを専門に
勉強してきた先生に限って言うならば
「コードはよくわからない、弾けない」
という人が、案外多いのも事実です。

というのも、
例えば、音大か専門学校か、で、
学べるカリキュラムが違うからです。
クラシック音楽を中心に学ぶのか、
ポピュラーやジャズを学ぶのか、など。
更に、専攻や選択コースによっても
勉強する内容は変わります。

クラシックの楽曲を
「演奏すること」が学びの軸となる
音楽大学のピアノ科。
和音(コード)の成り立ちについては
基本的なことを習う程度です。
それに対し、
ジャズピアノを学んだ人であれば、
「ジャズを演奏すること」以前に
まずコードを知る必要があるので、
当然、わかっているはずです。
あと、作曲を専攻している人も
音楽の成り立ち(骨組み)となる
「和声学」をしっかりと学ぶので、
もちろんコードはわかるでしょうね。

※超シンプルに説明すると、
「コード理論(コード/コード進行)」は
「和声学」から派生したものです

つまり、
達者にピアノが弾ける先生だとしても、
「譜面をその通りに弾くこと」しか
してこなかった人だと、
「コードはよくわからない」と
なったりするワケです。
学生時代に「和声学」の基礎程度は
授業で習っているはずなので、
それをコードに置き換えて考えれば、
理解できるはずなんですけどね。
(例えば、和声学で習う『属七和音』は
『ドミナントセブンスコード』というように)

「クラシックの楽曲を演奏し、
その演奏技術を磨いていくこと」を、
学びの目的としていた場合、
レッスン曲以外の楽曲を
(特にクラシック以外のジャンルなど)
遊びで弾く機会は減るでしょうし、
洒落た響きだからといって
その和音の成り立ちを分析したり、
それを真似て曲を作ってみる、
などといったことが
”無駄な時間”に思えてしまうのも
無理はないのかもしれません。

・曲を弾く上で必要性を感じていない
・和声学の基礎をよく理解していない
・和声学をすっかり忘れてしまっている
・「和声」を「コード/コード進行」として
 変換して考えたことがない
・理解していても実践にいかせない
(どんな風に弾けば良いのかわからない)

これは、日々ピアノに向かい、
レッスン曲を真面目に練習し、
「演奏だけ」を軸に勉強してきた
ピアノの先生”あるある”な気がします。

さて。
私自身を振り返ってみると、
「真面目」とは程遠く…。

≪不真面目&遊び弾き≫

↑この言葉に尽きます。(笑)

ということで、続きは次回!
私がコードをいつ頃から意識し、そして、
コードをどのように勉強してきたのか、
を書こうと思っています。

***

今回のまとめ。

一般的なピアノの先生は、
クラシック音楽を中心に学び、
演奏技術を向上させるために
子供の頃から練習に練習を重ね
真面目にピアノと向き合ってきています。
譜面に書かれたピアノ曲であれば
素晴らしい演奏をされることでしょう。

…が、「コード」となると話は別。

コードに関しては、
ジャズ系、ポピュラー系の先生、
(それらを勉強したことのある先生)
或いは、作曲系の先生のほうが
確実に理解されているかと思います。

***

続きの記事、≪私と「コード」≫は
もうしばらくお待ちあれ。(´▽`)ノ

コンディミだったのか!2021/11/19

つい先日の出来事。

現在、私が空き時間に
亀の歩みでコツコツと練習している
ショパンの『バラード1番』。

 え!先生なのに『バラ1』弾けないの?
 今になって譜読みしてるの!?
 という突っ込みはご遠慮願います。(笑)
 私もまだまだ勉強中なのですよ~(´ー`)

この曲の中盤に
何度、オタマジャクシを追って弾いても
「ややこしくて音が頭に入らない!キーッ!」
と、ボヤきたくなる箇所がありまして…。
闇雲に弾いても埒が明かないので、
一旦、ピアノを弾く手を止めて、
「これって何か規則性があるよね?
この音の感じ…知ってる気がする」
と、しばし楽譜とにらめっこ。


あ…
ピコーーーーン(゚д゚)!

これ、コンディミじゃん!


そうなんです。
ジャズではたびたび使われるスケール
『コンビネーション オブ ディミニッシュ』
(通称『コンディミ』)が
土台になっていることが判明。
(※ハーフホールトーンスケールともいう)

そうとわかれば、
意味不明に思えていた音の羅列も
ぐーんと親しみやすくなるし、
楽譜の音符を必死に追うことなく
音を探していくことも可能になり、
何度か弾くうちに指に馴染んできて
だんだんスムーズに♪
これ、
多分ジャズを勉強していなかったら
知らずにいただろうスケール。

楽譜にそって正しく音符を鳴らせれば
曲として完成していくクラシックピアノ。
クラシックのピアノ曲を弾くうえで、
「それが何という名前の
どんな音階なのか?」なんて
知らなくても特段問題はないのだ。

スケールを知らなければ当然、
その部分を何度も繰り返し弾いて
「身体に叩き込む」方法をとることになる。
ある意味、感覚的に丸覚えするしかない。
だけど理論的に考え、分析し、
理解&納得ができれば、
何十回と弾かずに数回でスッと
弾けちゃうこともある。
そして、成り立ちを理解している分、
頭に定着もしやすい。(=忘れにくい)

つまり、
ジャンルに捉われず幅広く学ぶことは
とても有意義である、ということ!
そして、柔軟な発想と応用力をもって
楽曲に取り組むことができれば、
近道にもなる、というわけ。

同じようなことが他にも…。
いわゆる『コードネーム』。

大人になり、
ジャズを通じてコードやコード進行、
前述したようなスケールについて
再度、勉強をし直してからは、
クラシックの曲を譜読みしていて
両手いっぱいに音が重なっている
複雑な和音の塊に出会っても、
「この響きは、えっと…あれか!」と
コードで考えたりするようになった。
わかってしまうと
「な~んだ~、早く言ってよ~」と
言いたくなるくらい、
ストンと腹に落ちるから不思議。
もちろん、
1音1音を確認して鳴らしている時よりも
サッと指を持っていく速さもアップ。
だから、時々ショパンの楽譜に
コードネームを書いちゃったりする。(笑)

理解しているに越したことはないのだ。

***

クラシックを弾ける人は
「楽譜に強い」なんて、よく言われる。
黒々としたオタマジャクシの行列を
読み進めながら、
次々と決められたとおりに
正確に鳴らしていくわけだから、
確かにスゴイことをやっている。

逆に、ジャズを弾ける人の中には
「楽譜は苦手で…」と言う人が多い。
だけど、ジャズを演奏するためには
音楽の骨格のようなものを理解し、
曲の流れ(進行)を客観的に感じつつ、
コードを元に、自分がチョイスした音で
ピアノを弾く必要がある。
これもスゴイこと。


『ジャンルに捉われることなく
ピアノで音楽を楽しもう!!』

↑これは、
小さな頃から私が持ち続けている感覚。
その感覚は今も変わらず生き続け、
そして、教室の特徴にもなっている。

Studio*ABE*の生徒さんには、
ジャンルを超えて興味を幅広く持って
ピアノを、そして音楽を、
総合的に楽しんでいただきたいなぁ。

そう願っている私です。(*´ω`*)

便利な『ターン』の音使い2021/10/14

装飾音符ターン
S字を横にしたような記号、
見たことありますか?
『ターン』という装飾音符の記号です。
クラシックを学んでいる人なら、
これまでに1度くらいは
目にしたことがあるのではないでしょうか?
(※写真はショパンの有名なノクターン
「Op.9-2」に出てくるターンです)

装飾音符というと、
『前打音』や『トリル』などが
よく知られていますが、
実はいろんな種類があります。
その中でも『ターン』は
使われる頻度はそう多くないですが、
知っておくと(弾けるようにしておくと)
ピアノで遊んだり
アレンジやアドリブをする際に
ちょっと役立ちます。(^-^)
クラシックを学んでいる方だけでなく、
ジャズを勉強中の方にも
身近に感じてほしい音使いです。

***

さて。
この記号、どう弾くのか。

例えば、『ド』の音符のところに
ターン記号が書いてあった場合、
「ド→レ→ド→シ→ド」
といった具合に弾きます。
親音符である『ド』を中心に、
2度上と2度下を行き来する感じですね。
この5つの音で「1セット」と捉えます。
(※細かな説明は省きます)

装飾音符として演奏する場合、通常、
親音符が持つ音価(音の長さ)の中で
この5つの音を弾くことになりますが、
今日は、譜面上のターン本来の
拍やリズムはちょっと横に置いておいて、
その「音」のみに注目!
なぜ?って、
このターンの「音並び(音使い)」こそが
遊びの場面、アレンジやアドリブで、
とっても役に立つんです。

ポップスやジャズを弾く際、
テーマメロディをいじったり(フェイク)、
コードにそってアドリブを弾いたりしますよね。
その時、このターンの音を使えば、
簡単にアレンジができるんです。

例えば…
ジャズ好きなら誰もが知ってるこの曲、
『Take The A Train』(A列車でいこう)。

テーマの歌い出し、
1小節目はG(ソ)の全音符。
つまり、「ソ ー ー ー」と伸ばしっぱなしです。
「さぁ、メロディをいじってみましょう」
と言われても、元の音はGのみだし、
何をどうしたら良いのやら?と困りますよね。
レッスンでジャズを学んでいる方なら、
・リズムを刻んだり、休んだりしてみる
・半音下のF#(アプローチノート)を使う
・コードトーンを使ってみる
くらいは思いつくかと思います。

うーん。他に何かできないかな?
もっと音を遊べないかな?
ワンパターンになっちゃうなぁ。

と、そんな時に試して頂きたいのが、
ハイ、こちら!!
今日、皆さんにオススメする
便利な『ターン』の音使い!
…って、
なんだかテレビショッピング的な
ノリになってしまいましたが、(笑)
でも、覚えておいて損はないです。

この場合、Gを親音符として考えるので、
ターンの動きに当てはめると、
G→A→G→F#→G
(ソ→ラ→ソ→ファ#→ソ)
と、なりますね。

※なぜFを # するのか、など
詳しい説明が必要な方は
レッスンで質問してください

鳴らすべき音がわかったら、
あとは伸ばしっぱなしのGが持つ4拍分で、
自由に、お好みで各音を割り振って
弾けばOK。それだけです。

このターンの動きは、
実際には5つの音を弾くことになりますが、
ターゲットとなる音(親音符)そのものを
単に装飾しているだけなので、
元の音「1音」だけを弾いている感覚で
使うことができます。

小さな記号で表せるターンですが、
上がったり下がったりグルリと動くので
本来の音を豪華に飾ってくれるんですね。

余談ですが、ターンの動きを知るには、
ブルグミュラー25練習曲集の
8番『優しく美しく』が参考になります。
ターンの音使いが記号ではなく、
オタマジャクシで書かれているので、
実際に弾いてみると、
その動きと音の流れがよくわかりますよ。
楽譜をお持ちの方は、
1度チェックしてみてくださいね。

***

♪フフンフン~~~

お風呂で湯船に浸かりながら、
ご機嫌で鼻歌を歌う時に、
その曲の譜面を頭に思い浮かべ
拍を数えて、ドレミを考えて
歌っている人って、多分いませんよね?

気楽に、リラックスした雰囲気で、
気持ちよ~くその曲を楽しみながら
自然と自分でアレンジして
歌っているものです。

ピアノも同じ。
楽譜に忠実に、
正しく弾くことももちろん大事。
だけど、たまにはちょこっとアレンジして
自分流にメロディをいじったりして
自由に遊んで弾いてみてください。

鼻歌を歌うようにピアノが弾けたら、
最高に楽しいですよ~~~♪
さぁ、ターンの音で遊びましょ。
ピアノでもっと遊びましょ。(*´▽`*)

「中級」は続くよ、どこまでも2021/07/30

楽譜を探していると、
「導入~初級」や「中級レベル」など
記してある場合がありますよね。
また、ピアノ関係の調べものをすると、
「中級者にオススメの曲は(ほにゃらら)」
なんて書いてあったり。
で、いざ「中級」の楽譜を買ってみたら
「え?これが中級なの?」と
拍子抜けするほど簡単だったり、
逆に、難しくて譜読みもままならない、
なんてことも…。

はて?中級って…??
自分は一体どのレベルなんだろう?
って思ったことはありませんか?
実はこれ、スパッ!と答えられません。(笑)

・普段、取り組んでいる曲のレベル
・仕上げるまでに要する時間
・仕上がり具合(表現力を含めた完成度)
・音楽的知識の理解度・応用力

などなど、総合的に判断しないと
何とも言えないからです。
単純に、上級曲を弾いている=上級者、
ピアノ歴〇年だから、もう中級者、
とはならないんです。

・憧れの上級曲に挑戦!という初級者
・上級曲を用いてレベルアップをはかる中級者
・初・中級曲を美しく弾きこなす上級者
上記のどのケースもあり得るので、
「曲」では判断できないんですね。

***

ピアノの学習レベルを
人の成長に当てはめてみましょう。

導入~初級を「ピアノ子供期」とし、
中級~上級を「ピアノ大人期」と考えると
イメージしやすいと思います。
中学校を卒業するくらい(15歳)までを
「子供」とすると、
それ以降が「大人」ですから、
15歳から死ぬまで「大人」が続くわけです。
仮に100歳まで生きるとすると、
なんと人生の85%を「大人」として
過ごすことになります。

これを、具体的に考えると…

まず、ドレミを読むことから始まり、
フォーム、リズム、指使いなどを
学び始めた段階が導入期。
わからないことだらけのヨチヨチ歩き、
手取り足取り教えてもらう段階です。
そして、
様々な音楽パターンやテクニック、
決まりごとなど学びながら
必要なスキルを習得しつつ
「弾くこと」そのものに
慣れていくのが初心者。
更に、短めの曲(小作品、練習曲)や
様々な時代、タイプの作品を弾くことで
「譜読みから曲を仕上げるまで」を
バランス良く学び、
ピアノの”基礎固め”をするのが初級者、
…という位置付けになるかと思います。

一般的によく言われている基準では、
『ブルグミュラー25練習曲集』を終えると
初級レベルの力は備わったと考えられ
中級の仲間入り、とされていますので、
ここまでが「ピアノ子供期」ですね。

いよいよ中学を卒業するお年頃。
幼さは残るものの中級の扉を開けて、
さぁ、大人の世界へ!となるのですが、
いざ「ピアノ大人期」に突入してみると、
15歳も100歳も、み~んな一括りに
「大人」なんですよね。
年齢・成長・知識・経験に開きがあっても、
つまり、みんなピアノ中級者なワケです。
ワンサカいます。(笑)
そう!
この中級の幅がとてつもなく広いんです。
どこまでいっても中級。
いつまでやっても中級。
かなり頑張っても中級。
ピアノ歴の長短に関係なく中級。
『ブルグ25』を終えたばかりの人も中級。
「ブルグ25だ、懐かしい~」と言いながら
楽譜を見てサラっと弾けちゃうのも中級。

そんな感じです。

あれ?
じゃぁ、いつ上級になれるの?
そんな疑問が出てくると思います。
これがまた難しい。
…というのも、
「上級者」と呼べるまでになる人が、
ピアノ人口の割に圧倒的に少ない。
毎日練習していれば
いつか上級者になれるか、といったら
残念ながらそうでもない。(´・_・`)
幼少時代から10年以上続けていても
到達できない人の方が実は多いんです。

先ほどの人間の成長(年齢)で例えるなら、
これまでの人生で大きな病気などせずに、
基礎疾患もなく足腰も丈夫で、
めでたく元気に85歳を迎えられた人!
ピアノ上級者の域に達する人は
そんな割合だと思ってください。(笑)

そもそも、何をもって「上級者」なのか、
決まっていないので判断基準も曖昧。
私の個人的な見解としては、
少なくとも「上級者」と呼ぶには、
ショパンエチュード同等レベルの曲を
「次々と取り組んでいけるだけの能力」と
「中級曲を完成度高く仕上げられる腕前」
は必要であると考えます。

***

そんなわけで、まとめ。

基礎固めが終わったら、
めでたく中級の仲間入り!
そして、そこから中級者としての
長い長~~いピアノライフが始まります。
飽きちゃうんじゃないかって?
嫌になっちゃうんじゃないかって?
大丈夫。心配は無用です。(*´▽`*)
中級者が学べるピアノ曲には
その長~い年月をかけても
到底弾き切れないくらい
たくさんの曲が存在しており、
初級の頃に取り組んでいた曲からは
想像もできないくらいに
美しく個性豊かな素晴らしい曲だらけです。
もちろん上級曲に挑戦してみるのもアリです。

そんなわけで、
大勢いるピアノ中級者の皆さん!
地道に練習を重ねていけば
弾ける曲は増えていきます。
楽曲を深く掘り下げ、
自分の身体(の使い方)と向き合い、
テクニックを磨いていけば
弾ける曲のレベルも上がっていきます。
長い道のり、
「いつまでたっても中級だ」と凹まずに、
「できるようになったこと」
(=己の成長)に目を向けて、
「更なるレベルアップには何が必要か」
を一緒に考え、
これからも学んでいきいましょう。

全力でサポートいたします!ヽ(゚∀゚)ノ