練習と上達の関係2019/03/01

『人一倍たくさん練習すれば上達するはず』
『自分は練習時間が短いから上達できない』

うんうん、と頷いて読んでいるアナタ!
(=゚ω゚)ノピピーーーーッ!(警笛)
これ、間違い。
そうではありません。
ピアノの「練習」と「上達」の関係について
今日は書いてみようと思います。

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これまでピアノを弾いた経験がない人が、
ピアノを弾くことにチャレンジする時、
また、
ピアノは弾けるようになったけれど、
新しい曲に取り組み始める時、
一向にスラスラ弾けるようにならない時、
より難しく高度な技術が必要になった時…
そんな時に、
必要なのは「練習」ですよね?

天才ならいざしらず、普通は
練習なくして弾けるようにはなりません。
ピアノは「練習」を重ねることで、
少しずつ弾けるようになっていくわけですが、
かっこイイ曲や憧れの曲などは
練習してもやはりそう簡単にはいきませんし、
それらの曲を
気持ちよ~く、美しく弾きこなすのは
至難の業!だったりしますよねぇ。

「たくさん練習を重ねればいつかは弾ける!
弾けるようになーーーーる!!」

と、信じたい気持ちもわかりますが、
漠然と「たくさん練習をすれば」と、
考えているなら…それ、ちょっと難しいかも。
というのも、思い通りに弾けるようになるには
「たくさん練習が必要」というよりも
確実に「上達していく必要」があるんです。

皆さん、勘違いしていることが多いのですが、
練習を重ねると弾けるようにはなりますが、
それと「上達すること」は、
ある意味「別モノ」だったりするのです。

(゚д゚)!…え?どういうこと?
という声が聞こえてきそうですね。(笑)

自転車に乗ることを想像してください。

≪全く出来なかったことが出来るようになる≫
自転車は、小さい頃に練習をして
乗れるようになった人が多いと思います。
不慣れな頃は必死にガチガチに緊張して
自転車に乗っていたはずですが、
いつの間にか力は抜け(必要最低限の力で)、
景色を見たり考え事をしながら
今では気楽に走っていますよね。
乗れなかったものが乗れるようになる!
凄いことです。

≪とりあえず必要なスキルを身につける≫
自転車に乗り慣れてきた頃には、
練習するぞ!とさほど意気込まなくても
片手で運転する程度ならば
自然と出来たのではないでしょうか。
飛んでいきそうな帽子を手でおさえたり、
目に入ったゴミを取る、など、
咄嗟に必要に迫られやっているうちに
出来るようになったはずです。
基本の動作+ちょこっとなら応用がきく
って感じですね。

≪そこから上達を目指す≫
では、両手をハンドルから離した
「手放し運転」はどうでしょう?
友達が得意気にやっている様子を見て、
私も練習をしてみた経験があります。
ハンドルをいつでも握れる準備をしつつ、
数メートルくらいなら走れたような…。
でも、手放し運転に関しては
「挑戦したこともない」「やろうとも思わない」
という人も割といらっしゃるんじゃないかな?
特に必要ないですしね。

≪更なる上達を目指す≫
もっとスゴ技を持つ人もいます。
ハンドルを持たずに両手をダランと下げたまま
スイスイ~とペダルを漕いでいる人、
時々見かけますよね。
両手でスマホを操作してる人を見かけた時には
曲芸を見ている気分になりました。
(※危険ですからやめましょう)

つまり、
「○○できるようになりたい!」と思った時、
人は、その基本的な動作を習得しようと
練習を重ねます。努力します。
しかし、ある一定まで達すると、
自分が必要と感じないレベルのことに関しては
意図的に「やろう」と思わない限り、
練習がストップしてしまうんですね。
ですから、当然そこまでしか習得できません。
伸びません。
また、「上達したい」と思っていても、
今の自分に必要な練習の内容
(=質や方向性、工夫の仕方など)が
自分では見極められず、
すでに習得しているレベルのことを
繰り返し練習(おさらい)している場合もあります。
これも当然、上達にはつながりません。

自転車に乗れるようになりたい!と思い、
練習し乗れるようになった自転車。
その後、何十年も(時間/距離)乗っていれば
自然とレベルアップしていって
手放し運転でも乗れちゃうよ~♪
…なんてことは無いんです。
意識してレベルアップを目指さなければ、
できるようにはならない、ということ。

「この練習が自分には必要である」
という実感が伴った練習を重ねることで、
初めて、その先に「上達」があります。
言い換えるなら、更なる上達を目指すならば、
「今の自分には何が必要か?」を常に問い、
意識的に練習を工夫して行なうこと!
これがとても大事。

長くなりそうなので、続きは次回に。
ピアノの練習に置き換えて
もう少し詳しく「上達」について、
そして練習の「意識」について、
説明しようと思います。(^-^)

上達の過程を知っていますか?2019/03/07

今日は前記事の続き。

上達するために必要なのは?
 ・人一倍練習をすること!
 ・時間をかけて回数をこなす!
 ・とにかく一生懸命やる!

ムムム。(-_-;)
どれも「正解!」と言いたいところだけど
残念ながらどれもイマイチ。(汗)
とにかく長い時間ピアノを弾けば、
ある程度は「弾く」ことそのものは
できるようになるかもしれませんが、
それで上達するのか?と言ったら微妙です。

「弾けるようになりたいな~」
から始まったはずのピアノですが、
練習を重ね、レッスンを進めていくうちに、
「両手で弾けるようになりたい」
「あの曲が弾けるようになりたい」
「スラスラと美しく綺麗な音で奏でたい」
「もっと難しい曲を弾きこなしたい」
「人の心に響く演奏をしたい」
…と、
徐々に理想や目標は高くなっていきます。
これは普通のことですし、
「もっと上手くなりたい」という気持ちは
とても大切ですね。(*´ω`*)

自分の理想に近づけるため、
自分の目標をクリアするために、
必要なスキルを1つ1つ身につけていくこと、
(より高いところを目指して登山するイメージ)
これが「上達」です。

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技能(スキル)の上達には
3段階の過程があることがわかっています。
 1 試行錯誤の段階
     ↓
 2 意図的な調節の段階
     ↓
 3 自動化の段階

何やら難しそう??
では、ピアノにあてはめながら
簡単にちょっと解説してみましょう。

≪1≫試行錯誤の段階
頭では理解していて、
アレコレ考えながらやっているけど、
なかなか思うようにいかない段階。

必死になって楽譜を読みながら
一生懸命に指を動かし
音を鳴らしている状態ですね。
この段階では、
回数をこなせばこなしただけ成果もでるし、
時間をかければそれなりに弾けてきます。

≪2≫意図的な調節の段階
流れやコツが掴めてきて、
意識してコントロールしながら
指が動くようになってきた段階。

一通りの譜読みが終わり、
なんとなく弾けるようになってきて
注意すべきことがわかってきた頃ですね。
「えっと、ここは5の指を使うんだよね」とか
「次の左手の低音でペダルを踏んで」とか
「ここのテンションはオルタードさせて…」とか、
色々と気をつけつつ弾き進められる感じ。

≪3≫自動化の段階
瞬時に判断ができ、
自然と身体が動いてくれる段階。

指(身体)が馴染んでスラスラと弾けてきて、
無駄な力みが取れて余裕が生まれます。
同時に自分の音に集中しやすくもなります。
横目にテレビを見ながら弾いたり、
夕飯のメニューを考えながら弾いたり…と、
少々、脳ミソを別のことに使っていても
指が勝手に動いてくれる感じですね。

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スキルの上達には3段階の過程がある、
ということ、お分かり頂けましたか?

この1→2→3という過程を経て、
「できるようになった!」「弾けてる!」
という実感が生まれると、
1つの山を登りきったことになります。
これは1曲を通した「全体」に限らず、
「フレーズ」単位でも同じことが言えますし、
もっと短く「部分的なこと」にも言えます。

そこで満足してしまった場合は
上達もそこまで。そこでストップです。
「よし、もっと速く弾けるようにしよう」とか
「別の弾きにくいフレーズもやろう」など
「もっと上手に」「より良く」と
次のステップを目指した場合、
今度は隣りにあるもう少し高い山を
更に登り始めることになるんですね。
そしてまた練習を重ね、
1→2→3の段階をふむことになります。
こうして、Aの山、Bの山、
更にC、D、Eの山…と、
少しずつスキルを上げていくわけです。

もちろん、いつも順調に1→2→3と
進んでいけるとは限りません。
壁にぶつかったり、やる気を失ったりして、
停滞することもあるでしょう。
一旦は出来るようになったことが
何かをきっかけに
再び出来なくなってしまうこともあります。
でもこれ、研究によれば、
上達していく過程において
「誰にでも起こる現象」なんだそうです。

闇雲にただ繰り返し練習さえすれば
それなりの成果を得られた
1の試行錯誤の段階に対し、
2~3の段階になるとそうはいきません。

自分だけができないわけでも、
要領が悪いわけでも、年齢のせいでも、
不器用なわけでもありません。
初心者さんもプロもみな同じ。(´ー`)
そんな簡単にホイホイと上達はしません!
(キッパリ!)
40年ピアノを弾いてきた私も
いまだにヒィヒィ言いながら
練習に励んでいるわけですから。(笑)
…とはいえ、ヒィヒィ言いながらも
山を登り切った時の達成感、満足感が
楽しくてやめられないんですけどね。

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これができるようになっても、
あれはまだできない。
こう弾けても、ああは弾けない。
一筋縄ではいきません。
上を見たらキリがありません。
やってもやっても次があります。
すぐに結果も出ません。
苦労してやっと登り切っても、
隣には更に高い山々が連なっています。

だからこそ、練習は量より質なんです。
練習の計画やちょっとした工夫、
気持ちの持ちよう、などで
練習の質を高めることが大切!!
闇雲に弾きまくって、
心身ともに疲れ果ててしまう練習や
時間だけ使って成果の伴わない練習は
もうやめましょう。

…ということで、
次回はいよいよ完結編です!
「上達のための練習ポイント」
を書く予定。
「無駄に長いッ!!」
という突っ込みは自分で入れますので、
もう少しお付き合いくださいませ~。(苦笑)

上達のミルフィーユ2019/03/14

さぁて、練習、練習、練習だ~。
時間が取れるとワクワク♪
私は毎日楽しく練習しています。
何がそうさせるのか。
 ・動かなかった指が動くようになる
 ・だんだん軽やかに弾けるようになる
 ・あんなに間違えていたのにミスが減る
 ・思い描いた音色が出せるようになる

↑このように、
練習したことの成果を感じられたり、
曲が仕上がって達成感を味わえることは
ピアノを学ぶ上での大きな喜び。
「できなかったことが、できた!」など、
「上達している」という実感は、
自分への報酬となり、
更に深く学ぶことへの原動力となります。

そして、「終わり」がないこと。
これも、とても私にとっては魅力的。

ピアノを学ぶことに終わりはない。
弾いてみたい曲は山ほどあるし、
まだ自分が出会っていない素敵な曲も
わんさかあるはずです。
数年前に弾けるようになった曲も
もう一度、復習してみれば、
もっと違った仕上がりになるし、
豊かな表現や繊細な音を目指すなど、
どこまでも掘り下げて勉強できます。

自分の能力を少しでも伸ばしていき、
丁寧に磨き、ひたすら音楽を追求する。
没頭できる何かがあるって
とても幸せなことですよね。
つくづくそう思います。
はぁ~ん、ピアノは楽しいなぁ。
よし、今日も練習しよっと!(*´ω`*)

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さて。私に起きてる↑このサイクル。
これ一体どうなってるんでしょう??

練習する→できるようになる(上達)→
嬉しいし、楽しい→更に練習する→
更に弾けるようになる(上達)→ムホ~♪
→更に練習→上手くなってる!(上達)
→イエェーーーイ♪ヽ(゚∀゚)ノ♪

…という感じですかね。(笑)
「練習・上達実感・嬉しい」の3段重ね。
更に、それが何層にも重なっています。
まさに上達のミルフィーユ!

ここでポイントとなるのは、
どんなに小さなことでもいいから
確実に「上達」をしていくこと。
別の角度から言えば、
ほんの些細な「上達」だったとしても
自分自身の変化にきちんと気がついて
それを素直に喜べること。
何らかの進歩・手応え
=つまり「上達」が感じられないのに
楽しんで練習し続けられる人は
なかなかいませんからね。

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では、上達を感じるために…
① 何が必要なのか?
② 練習では何をすれば良いのか?
③ その際、コツはあるのか?
詳しくみていきましょう。

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①必要なのは、上達を感じる心

上達を感じる…の、この「感じる」は、
ピアノを弾く指ではなく「心」のお仕事。
上達が感じられるかどうかは、
まず、自分の心や気持ちの問題です。

上達のカギは”素直であること”だと
私は思っています。これは
『教えられたことを素直に取り組む』
という学ぶ姿勢に対してだけでなく、
『成果や成長を素直に感じ取れるか』
という意味でもあるんです。

「前回よりミスがぐんと減りましたね」
「ほら、ココもう弾けていますよ!」
「綺麗な音で弾けるようになりましたね」
など、
レッスンでは進歩や上達した点を
積極的にお伝えするようにしていますが、
「いえいえ、下手なんです」
「まだ全部はできていないですし…」
「でも速くは弾けないんです」と
私からの言葉を否定して
受け取ってもらえないことがあります。
これは、とーーーっても勿体ないこと!!

だって先生、お世辞言ってるでしょ?
って?ムキィーーーーーッ!(`・ω・´)ノ
私はレッスンに関することを
お世辞で褒めたりしません!

謙遜している…??
ってことかもしれませんが、
ピアノを学ぶうえでそんなの必要なーし!
もしも、謙遜しているとするならば、
それは知らず知らずのうちに
自分を押さえつけ否定しているようなもの。
要注意です。
練習を頑張った自分、
少しだけど出来るようになった自分、
まずはしっかり認めてあげましょう。
そして「嬉しいな」「楽しい」「やったー」
という感情をしっかり味わうこと、
上達って実はそこから始まっています。
「わーい♪褒められた!」と
素直に喜んでOKなんですよ。(´ー`)

②「考えること」も練習のうち

ほんの些細な進歩だとしても
「出来るようになったこと」を
しっかりと認めて大いに喜んだら、
今度は「出来ないところ」に目を向けます。

把握&分析し、そして実践(練習)です。
この把握&分析の作業をせずに、
「ちゃんと部分練習しています!」と言い、
弾く→できない→弾く→できない→弾く…
を繰り返しているケース、多いです。
これは部分練習ではありません~。(T_T)
出来ないところを
ただ何度も繰り返し弾いているだけ。
単純に回数をこなすだけのこの方法は、
『試行錯誤の段階』(前記事参照)ならば、
少しはマシになってくるでしょう…が、
時間と労力の割に成果が出ないので
やる気を失うなど、
マイナスに働く危険性があります。

出来ないのは、どこ?どの部分?どの音?
どんな風に出来ないの?
指が動かない?音を外す?止まっちゃう?
何が原因でうまくいかないんでしょう?
どうしたら出来ると思う?
出来るようにするには何に気を付けたら良い?

こんな風に、
出来ない状況や原因を深く考えてみる!
どうしたら弾けるようになるか考えてみる!
これってスゴク大事。
もちろん自分では気が付けなかったり、
何をどうすれば良いのか、
わからないことも多いと思います。
だからこそ、レッスンなんですね。
ピアノ教室はそのためにあります。

「間違いを指摘するだけのレッスン」
こんなのレッスンじゃないと思っています。
「間違えてるのはわかってるけど出来ない」
「なんで間違えちゃうのかもわからない」
皆さん、きっとそうですよね。
ですから普段のレッスンでは、
どうすれば良いのか練習の仕方を教え、
一緒に手伝いながら実際にトライしてみたり、
原因となることを探って正しく直したり、
上手くいくヒントを与えたり…
ということをしています。
家で練習する時はレッスンを思い出して、
レッスンの時と同じようにあれこれ考えながら
弾いてみてくださいね。

③ コツはズバリ!意識!

練習する際のコツは、脳ミソと動作の連携。
つまり「意識して、やる」です。

当然、何のためのどういった練習か、で
意識すべき点は変わりますが
 ・姿勢など身体全体への意識
 ・手や指の形(フォーム)への意識
 ・何指を使うかなど動きへの意識
 ・音が跳躍する際などの目線の意識
 ・曲の流れやコード進行(和声)の意識
 ・特定の音や音色を聴こうとする意識
などなど…
どこをどんな風に注意すれば良いのか、
とにかく頭を使って「意識して弾く!」
これに尽きます。
『意図的な調節の段階』(前記事参照)では
特にこの「意識」が本当に大事です。

注意すべき点や聴くべき音など、
細部にわたって意識を集中させ
いかに丁寧に取り組めるかどうか、
(=練習の質を高められるかどうか)で、
練習内容を「ぐらつきのない強固なもの」
とすることが可能です。

「やるべきことを意識して回数を重ね、
身体に覚え込ませたもの」

「意識することなく回数を重ねることで
身体が勝手に覚えてくれたもの」

この2つは似て非なるもの!!
これを肝に銘じましょう。

=================

意識して練習を重ねることで
弾けるようになったところは、
脳ミソ→動作の連携がしっかり結びつき
ぐらつきの無い仕上がりで
だんだんと意識せずとも
弾けるようになっていきます。
(『自動化の段階』への移行)
すると、
「おぉ、弾けてるじゃん!自分!」と
嬉しくもなるし、自信もつきますね。
上達の実感が持てるようになると、
練習自体が楽しくなります。

自動化されて、脳ミソ・身体・心に
余裕が生まれてくれば
「じゃぁ、次のフレーズもやってみよう」
「音色にもこだわれるようになりたいな」
「本来のテンポで弾けるようにしたい」
など、
ピアノが好きな皆さんなら自然と
次の課題へステップアップしたくなるはず。
もちろん、新たな山に登り始めることは、
再び「弾けない自分」「できない自分」と
向き合うことになるので大変です。
また試行錯誤の練習が1から始まります。

でも、この記事を読んだ皆さんなら
もう大丈夫!(・ω・)ノ

素直に成長を受け止める心と、
「ピアノって楽しい!練習も楽しい~」
と思える気持ちを大切にしながら、
出来ない部分を分析し、適切な方法で、
しっかりと細部に意識を張り巡らせて
丁寧に練習を重ねれば、
また一段上の層にいけるはずです!

上達のミルフィーユ

それは魅惑の味なのです~。
モグモグ(*´m`*)モグモグ
一度味わったら病みつきになりますョ。
皆さんもぜひ召し上がれ♪(笑)

修理そのものは終了!2019/03/18

3月12日~14日は
3日連続でピアノの修理でした。

当初は、全4工程(4回)を月1ペースで
1~4月に行なう予定だったのですが、
「毎回、作業後にピアノを”弾ける状態”に
戻す時間がもったいない&手間がかかる」
ということもあり、相談の結果、
「一気にやってしまおう!」ということで、
今回は3連チャンとなりました。
(結局、修理そのものは全5工程でした)

≪1日目(3月12日)≫

前回の時より更にスタッフさんが増え、
12日は3人がかりで修理を続行!
前回やりきれずに残されていた
高音部のヒールクロスの張り替えに始まり、
ジャックボタンパンチングの張り替えや、
センターピンの交換などをして頂きました。

様子を見に行くと、
レッスン室は足の踏み場もないほどに
分解されたパーツで埋め尽くされて
見たこともない光景に…!
通常の調律では見ることのない
解体された部品たち。
何が何だか???の状態です。(笑)
どれもこれも小さなパーツたち。
1cmに満たないようなものばかり。
肩が凝り、目が疲れそうな作業です。((+_+))

≪2日目(3月13日)≫

大がかりな作業は前日に済ませたようで、
この日はお1人で黙々と作業。
まず、鍵盤の高さを揃える調整。
一見すると全ての鍵盤の高さが
揃っているように見えていますが、
定規を使って僅かな高さの違いをみたり、
鍵盤に指を這わせ、スーっと横移動した時の、
ほんのちょっとの違和感に対応していくという
実に細やかな作業。
鍵盤の真ん中あたり(見えている部分の奥)
にあるバランスキーピンに、
パンチングペーパーという薄い紙を挟んで
1つ1つ鍵盤の高さを揃えていきます。
薄いものだと紙1枚0.03ミリという世界!
この1枚で弾き心地が変わるんです。
もちろん、鍵盤を押した(沈めた)時の
高さも全部、調整して揃えます。

そして、ハンマーファイリング。
「もうこれ以上はムリ。限界…」と
言われている作業です。(涙)
弦溝の跡がガッチリついてしまい
硬くなったハンマーのフェルトを削って
ほぼまっさらな状態にしてもらいました。
教室のピアノはもう削れる余地がないので、
このハンマーでのファイリングも
今回が最後でしょう。(T_T)

≪3日目(3月14日)≫

そして、最終日。
ファイリング後のハンマーフェルトの
弦への接し方(=あたり)の微調整。
削ればそれでOKというものでもなく、
ハンマーの先端部分が
3本の弦に対し同時に接するように
動作を確認しながら、
1つ1つ丁寧に調整していく必要があるんです。
(※中~高音域は1音に対して弦は3本です)

…とまぁ、3日間の工程はこんな感じでした。

さすがに今回は、
終了が23時を過ぎることはなかったですが、
それでも連日、10時~20時過ぎまでの
作業となりました。
本当にお世話になりました~。

===================

余談ですが、
初日のセンターピンを交換する作業が
これまた細かくて説明を聞いてビックリ!

人間の「前腕部分」と「上腕部分」のように、
ハンマーアクションにも、
「パーツが動くように結合されている箇所」
があります。その結合部は、
まさに肘(関節)のような役割をしており、
そこがスムーズでなくなると、
アクション自体に不具合が出て
「鍵盤が動かない」とか「戻りが悪い」
なんてことになるんですね。

その関節=結合部に使われているのが
この「センターピン」と呼ばれるもの。
長さ1センチ程度の針のようなピンで
その太さが直径約1.2~1.5ミリ程度。
1ミリですよ!1ミリ!((((゚Д゚;)))!
それを部品の穴に差し込むことで、
そこが軸となり、部品を結合させながらも
クルクルと回転運動ができているのです。

作業としては、
既に差し込まれてある古いピンを
押し出してから慎重に抜き取り、
サイズの合った新しいピンを差し込み、
動き(摩擦の具合)を確認・微調整し、
はみ出た部分を切り落とす。
とまぁ、こんな感じ。

単純な作業と言えばそうでしょうが、
88個の鍵盤全て行なうことと、
小さなパーツを扱うその細かさ、
その感覚の繊細さを考えたら、
もう~頭クラクラしました。
…というのも、
穴のサイズには僅かな誤差があるので
88個それぞれ合うサイズが異なるのです!
ピンのサイズは0.025ミリ(!)の単位で
全部で13種類あるんだそうで、
その中から合うものを選ぶとのこと。
どうかすると、0.025ミリという単位でも
しっくりいかないこともあるらしく、
その際は穴の内側のクロスを
棒状の細いやすりで微調整するんだとか。
ひぃーーーーーーーーー!!
細かすぎる!((+_+))

「感覚でわかるし、さほど大変じゃない」
というような事をおっしゃっていたけれど、
経験を積んでいるからこそ、の
セリフなんだろうなぁ~。
いやぁ、修理の現場は驚きの連続です。

説明を聞けば聞くほど奥が深く、
そして自分の無知さ具合がよくわかります。
長年にわたりピアノを弾いてきた人でも、
ピアノの中身(構造)に関しては
知らない&わからないことだらけ。
お恥ずかしい限りです。

今回の大がかりな修理(作業の様子)を
近くで見ることができたのは私にとって、
と~っても勉強になる出来事でした。
「余計な力や無駄な動きをなくす」や
「良い音で演奏する」は、
ピアノを弾くうえで大切なことですが、
そのためにも、ピアノそのものの構造や
アクション、各パーツの役割、などなど
「知っているに越したことはない!」と
強く思いました。
もっと色々な角度から勉強し、
知識を深めていかなくちゃいけませんね。

==================

さて。
これでピアノの内部(アクション関係)の
修理そのものはすべて終了しました!
…とはいえ、
削られたハンマーは現段階では調整のみで
整音などは施されていない状態です。
音そのものは、まだキツイ感じもしますし、
シャリシャリした感じの音もありますが、
もう少しの間、辛抱してくださいませ。

今の状態のまま、
あと1ヶ月強、ピアノを使い続け(弾き続け)、
今回、修理したり調整した箇所の状態が
落ち着いたところで最終チェック。
改めて調律・整音を行なって頂く予定です。
依頼した修理のすべての作業は
それで終了することとなります。(4/25予定)

で、で、で!!
アクションに関する諸々の修理が終わり、
ガッツリと真剣に自分の練習をしてみて、の
肝心の弾き心地の感想ですが…

ぉぉおおおお~~~~~♪
素晴らしく弾きやすい~~~~~♪
ヽ(゚∀゚)ノ
もう~、とにかく弾き心地に関しては、
大大大満足です!!!

連打やトリルがしやすい!
音がスッと鳴る!
反応が良い!
繊細なpp音を奏でようと思った時にも
ちゃんと自分の想像した通りの音が鳴る!
指を離した後の落下音(カタッという音)が
驚くほどに減った!ホントに減った!
ソフトペダル使用した時の
音の急激な変化がなくなった!
ダンパーペダルの遊びが減って、
以前より扱いやすくなった!
などなど。

生まれ変わったピアノの弾き心地を
皆さんもレッスンで堪能してくださいね。

3年間の成長2019/03/29

私の可愛い友人、近所のTちゃんが
この春、中学校を卒業した。
このブログでも何度か登場している
姉妹のお姉ちゃんのほうだ。

Tちゃん一家が近所に引っ越してきた時、
Tちゃんはまだ幼稚園生だった。
我が家の愛犬を可愛がってくれたことで
仲良くなり、色々とお話しするように…。
犬から始まった付き合いだけど、
音楽好きな子だったこともあって、
「ピアノを習っている」
「学校で合奏やった」
「クラスの歌を作っている」
「発表会があるの」などなど、
音楽の話しもたくさん聞かせてくれた。
そして、
中学校3年間は吹奏楽部に所属。
リズム楽器が好きで担当はパーカッション。
部活帰りの彼女に道端で会うと、
いつも部活の話しを報告してくれた。

3月終わり、吹奏楽部では
「スプリングコンサート」という名の
演奏会が学校の体育館で行われる。
毎年この時期になると
≪都合が合えば来てください♪≫と
Tちゃんからお手紙を貰っていたので、
この3年、都合をつけて聴きに行っていた。
※レッスン日時を変更してくださった方々、
 ありがとうございました!

で。
先日26日もその演奏会に足を運んだ。
彼女たち3年生にとっては、
中学校の吹奏楽部、最後の演奏会。
卒業式も済ませた後なので、
本当に最後の最後。

そこには、
指揮をする先生をしっかりと見ながら
ドラムをかっこよく叩き、
同じパーカッションの後輩部員の様子に
優しいまなざしで気を配りながらも、
真剣に演奏に集中する彼女の姿が…。

じぃーーーーーーーーん。(T_T)
泣きそうになった。(苦笑)

単なる”近所の人”な私。
だけど、こんな私を慕ってくれて、
毎年お手紙付きで招待してくれて、
こうしてお付き合いができていること。
彼女の成長を近くで見守らせてもらえたこと。
改めて感謝の気持ちでいっぱいになった。

この3年、
彼女のように…とまではいかなくても
私も少しは成長できていただろうか?
そんなことをボンヤリ考えながら、
吹奏楽の演奏を聴いていたのでした。

自分にとっては、
アッという言う間に過ぎる3年。
だけど、彼女はその3年間で
すっかりお姉さんになっていた。
進路も決まって、春からは高校生。
以前は道端で会えば、
「あ!KIKKIさ~ん、あのね聞いて聞いて」
と、何でも話してくれていたけど、
高校生とか大学生になったら
だんだんとよそよそしくなったり
素っ気なくなったりするのかな?
そんなことを勝手に想像しては、
妙に寂しくなる私。(笑)

どうかいつまでも
お友達でいてくれますように。

そして、願わくば…
Tちゃんがジャズドラムに目覚めて、
一緒にセッションができますように!!
(↑これは私の勝手な妄想&願望)